【月経周期と養生】中医婦人科学
周期調節法とその特徴
周期調節法は、中医学の視点から女性の月経周期に合わせた体のケアを行う方法です。個人の体質や基礎体温に応じて漢方薬を使用し、体内環境を整えることを目的としています。ただし、これはあくまで参考例であり、すべてのケースに適用されるわけではありません。
1. 周期調節法の基本的な考え方
周期ごとに異なるアプローチ:
低温期(卵胞期)と高温期(黄体期)に応じて体を整えます。
必要に応じて、排卵期に特化したケアも行われます。
弁証論治が基本:
病名だけでなく、体の気血津液(体液)のバランスや体質を考慮し、適切な対応を行います。
2. 周期調節法での具体的な例
以下は、月経周期に応じて使用されることがある漢方薬の例です。
月経期
婦宝当帰膠(ふほうとうきこう):
1日2回、1回4mlを目安に使用。
血を補い、経血の排出をスムーズにする。
卵胞期
杞菊顆粒(こぎくかりゅう):
1日3回、1回1包を目安に使用。
低温期において、陰を補い、卵胞の発育をサポート。
排卵期
血府逐瘀丸(けっぷちくおがん):
1日3回、1回8錠を目安に使用。
気血の巡りを良くし、排卵をスムーズに進める。
黄体期
参茸補血丸(さんじょうほけつがん):
1日3回、1回10粒を目安に使用。
黄体期において腎陽を補い、体の活力を整える。
3. 周期調節法の応用と調整
個々の体質に応じた調整:
高温期が高すぎる場合:低温期の杞菊顆粒を高温期まで延長して使用。
低温期が長く陽が不足している場合:低温期の途中から参茸補血丸を追加。
陰虚が少なく陽虚が顕著な場合:低温期から補腎陽の漢方を使用。
短期間での経過観察:
多くの場合、2週間から1か月ごとに状態を確認し、必要に応じて処方を調整。
4. 特殊なケースへの対応
子宮筋腫や多量の出血がある場合:
出血のコントロールを目的に、田七人参などを活用。
生理が来ない場合:
生理がない場合でも弁証を基に、体質に応じた調整を行う。
手術後や子宮を摘出した場合:
子宮がなくても体調を整えるためのケアを行う。
5. 漢方相談における重要なポイント
弁証論治が最優先:
体の状態を詳細に把握し、気血津液のバランスを確認。
周期調節法は絶対ではない:
必ずしも周期調節法を用いる必要はなく、妊娠しやすい体作りを優先することも可能。
ケースバイケースの対応:
各患者の基礎体温や体質に応じて柔軟に調整。
6. 養生の重要性
月経中のケア:
月経中は特に活血を意識し、体を冷やさないように注意する。
生活習慣の改善:
食事、運動、睡眠などの基本的な生活習慣を整えることが、周期調節法を活かすための鍵となります。
7. まとめ
周期調節法は、体質や状態に応じて柔軟に対応できる方法です。月経周期の各段階に応じて体のケアを行い、健康的なリズムを取り戻すことを目指します。ただし、適切な弁証と個別対応が重要であり、専門家の指導を受けることが推奨されます。