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リプート記念!「新幹線大爆破」と山口

以下の記事は、山口市の地方紙「サンデー山口」に2020年6月3日付で掲載されたものを、サンデー山口の開作真人社長(僕と同じベイスターズファンでレノファサポーター!)に承諾を頂いて掲載したものです。

対談している「小林」さんはtysテレビ山口の番組ディレクターとして活躍し、「セニョール小林」名でタレント活動もされていた方で、僕が小学校1年生の時に同じクラスで後ろ前の席になって以来の幼馴染で映画仲間です。

オリジナル記事はこちらから!↓

【新型コロナに負けない!】セニョール小林&マニィ大橋が対談 おうちで映画を楽しもう!③ | 山口の地域情報紙・サンデー山口 (sunday-yamaguchi.co.jp)

さてさて、大傑作みんな大好き「新幹線大爆破」が、樋口真嗣監督、草彅剛さん主演でネットフリックス映画としてリブートされる、というニュースを受けて紹介しようと思ったのですが、この記事、Wikipediaの「新幹線大爆破」紹介の中で、この映画がハリウッド作品「夜空の大空港」をヒントに製作された、という件りの引用元になってることに最近気づいて驚いたことも紹介しようと思ったきっかけのひとつです。

この記事にも書いてますが、「新幹線大爆破」は山口県ともゆかりが深い作品で、僕にとっても大人になってから「映画」と改めて向き合うきっかけになった大切な作品でもあります。

良かったらお読みください。

ノンストップサスペンス! 「新幹線大爆破」

 小林 3本目は大橋君が紹介してよ。
 (※1本目、2本目が気になる方は↑から元記事をお読みください)
 大橋 僕にとってのイチオシのロード・ムービーは「新幹線大爆破」(1975年/東映)だね。
 小林 大変化球(笑)。まあ、広い意味で言うとロード・ムービーだよね。
 大橋 東京発博多着の新幹線ひかり号に、時速80キロ以下になると爆発する爆弾が仕掛けられて、1500人の乗客が乗ったひかり号がノンストップで博多まで疾走する中、犯人と警察・国鉄(当時)の息詰まる攻防戦が展開する…。高倉健さん、千葉真一さんをはじめ、当時の東映オールスターが出演していて、今観てもすこぶる面白い。
 小林 確かに。「人間の証明」(1977年)、「敦煌」(1988年)、「男たちの大和/YAMATO」(2005年)など多くの大作で実力を示してきた佐藤純彌監督の傑作だと僕も思うよ。あと、物語の設定や展開が、キアヌ・リーブス主演の「スピード」(1994年)によく似ている。
 大橋 てか、そっくり!
 小林 「スピード」の脚本家は、黒澤明監督が書いた脚本、暴走機関車(1985年ハリウッドで映画化。黒澤監督は「原案」としてクレジットされている)を参考にした、と言っているけどね。
 大橋 どこからどう観ても、「新幹線大爆破」だよ(笑)。実は僕、このことについて、「新幹線大爆破」の物語を考えたプロデューサーの故・坂上順さんに直撃したことがあるのよ。高倉健さん主演「ホタル」(2001年)の公開時、山口県に来られて、取材させてもらった時に。
 小林 よく聞けたな。何て聞いたの?
 大橋 「ハリウッド映画に真似されて悔しくないですか?」て聞いたら、「いやいや、むしろ光栄です。実はあの作品は、ハリウッドの『夜空の大空港』(1966年)を観て思いついたので、あちらがあちらなら、こちらもこちらなんです」と笑っておられた。
 小林 ああ、あの、一定の高度が下がると爆発する爆弾が飛行機に仕掛けられる、テレビムービーの傑作の! でも「新幹線大爆破」は、そもそも当時の岡田茂東映社長が、ハリウッドの「タワーリング・インフェルノ」(1974年)みたいなパニック大作を作れ!、と指示して製作された作品だからね。
 大橋 そうだね(笑)。それでその時、僕は坂上さんに「あの映画はメチャクチャ面白いけど、ひとつだけ抗議したい」って訴えたんだよ。
 小林 何て?
 大橋 クライマックスで、ひかり号を「やむを得ず、どこかに止めよう」と国鉄の幹部たちが話をするじゃない?
 小林 ああ、そこか(笑)
 大橋 あの時、関門海峡を越えて福岡県に入って停車させ、もし爆発したら都市部で甚大な被害が出る。だから家も人口も少ない山口県の田園地帯で止めよう、と。それでその場所は下関市の小月、となるんだけど、「小月」の発音が変なんだよね。それで「山口県民としてあれは許せません!」と猛抗議したんだ。
 小林 メチャクチャするなあ。坂上さんと言えば、「野性の証明」(1978年)、「動乱」(1980年)、「鉄道員(ぽっぽや)」(1999年)など東映を支えた名プロデューサーだよ。大橋君が大変お世話になった佐々部清監督のデビュー作「陽はまた昇る」(2002年)も坂上さんプロデュースじゃない。何と失礼なことを。
 大橋 坂上さん、大笑いしながら「それはごめんなさい」と謝ってくださった。でもその時、地方紙記者だった僕に、「君、そんなに映画が好きなら、こちらの(映画を作ったり紹介する)世界においでよ」って言ってくれてね。そのあと、本当にその気になって、坂上さんを慕っていた佐々部監督にお世話になり、会社を辞めて今があるから、あの取材は僕にとっても意味があったと思う。
 小林 いい話にするなよ(笑)。でも、映画ってさ、君と僕にしてもそうだけど、人と人とを繋ぐよね。
 大橋 そうだね。ぜひこの機会に、今回紹介した作品だけじゃなく、いい映画、面白い映画をたくさん楽しんでほしい。
 小林 家族で観た映画について映画談義するのも楽しいよね。
 大橋 あ、「スピード」も大傑作なので、まだ観てない人はぜひ!
 小林 今の坂上さんの話を聞くと、「スピード」も「新幹線大爆破」も、やっぱりパクったとか参考にしたとかじゃなくて、面白い映画の王道を追求したからこそ、の面白さなんだよ。映画人たちが魂を込めて創り上げたそんな面白い「映画」を、今こそ自宅でも堪能しましょう!


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