ないものねだり
僕はどう伝えるか、どう表現するかを考えるのが好きだ。神経質すぎない?って自分でも思うくらいめちゃくちゃ細かく考える。
人と喋るときも、DJも、この文章を書くときも、相手の受け取り方を計算してリリースしている。例えば人と喋るときはトークの間や言葉選びを、DJは文脈や作品感を大事にするし、物書きは読みごたえを持たせるように推敲する。
ただし毎回うまくいってるかと言えば違う。ちょっと考えすぎちゃったなぁということもよくある。
これに比べて感覚ベースというか、天才型の人が世の中にはいる。細かいことは抜きにしてあるがままをぶつけて伝われ!ってパワーで押すタイプ。しかもなぜか説得力があって、あとから辻褄合わせが追いかけてくるような、そんな強さを持っている種族。
あれにはもう絶対に敵わないなって思う。自分とは違うタイプなので話したらきっと噛み合わないだろうけど、ああなれたらなぁという憧れがある。例えるなら"醤油やソースをかけなくても食材の味だけで楽しめちゃう"みたいな素材の良さ。僕はそこに強く惹かれる。
「どんな人が好きですか?」と聞かれるといつも「動物っぽい人」と僕は答えているけど、細かく説明すると、まぁ今語った感じかなぁと思う。悪く言えばぶしつけだったり頑固に見えるタイプだけど、すこし角度をずらして見ると素直で芯を持っている人物で、素敵だなぁと思う。
「自分と違うタイプが好き」という自分の性質にときどき悲しくなることもあるけど、だからこそ相乗効果が生まれるし、うまくいったときの喜びが大きいのかもしれない。
ないものねだり。互いの短所を補い合うように、凹凸がうまく噛み合うように、それぞれの違いを楽しみながら生きていく。誰に対してもそうでいられたらいいな。