パクリとは何か、舐達磨とBAD HOP、ビートたけしと近田春夫の騒動から考える
サンプリング。既存の曲の一部を使って新たな音楽を作り出す手法。パクリの線引は凄い難しい。
しっかりした手順であれば、ちゃんと著作権者に許可をとってから使うべきなんだけど、そういう法的ルールだけでは語れないパクリという概念の定義の難しさがある。
昔からの騒動、ザ・ぼんちとビートたけし
80年代の漫才ブームを牽引したザ・ぼんちとビートたけし。どちらも歌を出しており、その曲は漫才ブームと共にヒットします。
そこで生まれたのが、ヒット曲「恋のぼんちシート」で、近田春夫による曲でした。
しかし、ビートたけしのオールナイトニッポンでこの曲とダーツというバンドの曲がとても似ているとして紹介されます。
これは騒動になり週刊誌はこれを報道しましたが、近田春夫本人はダーツからの影響をパクリとして自認していることを公言し、論争にまでは至りませんでした。
この頃からすでに、パクリとはなんなのかという定義の曖昧さ、世間と作り手の認識の乖離が問題になってたようです。
BAD HOPと舐達磨のビーフから見る
そもそもビーフとはhiphopシーンにおける楽曲によるディスりあいです。特に有名なのは2パックとノートリアスBIGのビーフです。これは両者が殺されたことで決着しました。
ビーフとはそれだけ恐ろしいことなんです。
しかし、それによってhiphopの歴史が作られてきたのもまた事実です。対して日本のビーフは、誰も死なないということになってます。
今回のビーフはバッドホップの楽曲をパクリだと批判したRYKYEのコメントを発端に始まりました。
最終的にはBAD HOPのYZERRと舐達磨の両者によるビーフになりました。
確かに似てるところはある。サンプリングとも言えないし。でもアメリカのパクリだとしても、それを日本語で歌って、これだけ格好いい楽曲を作れるのは、それはそれで凄い才能だと思うんです。
ロックが成熟していなかった昔の日本で海外バンドの日本語訳を歌ったグループがヒットしたように、まだまだhiphopが成熟していない日本ではアメリカから得るものも沢山あると思うんです。
BAD HOPは解散してしまいましたが、トラップという新たなジャンルを牽引してきた日本のグループと言っても過言ではないと思います。
一方で舐達磨のような、ローファイヒップホップのビートでメインストリームに躍り出る、独自性のあるグループもいるわけです。
ローファイは世界的に人気があるジャンルで、日本人DJであるNujabesが創始者と言われている日本に由来あるジャンルです。だからこそ舐達磨が日本のシーンを引っ張るのはとても価値あることだと思います。
どっちが良いとかじゃなくて、両者が切磋琢磨してこそ日本のヒップホップシーンが盛り上がって行くんだと思います。
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