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50歳以降の仕事選びの基準

経済誌編集長時代に受けた大いなる誤解

「吉田さんって孫正義さんや藤田晋さんを取材した事あるんですね。凄い人脈をお持ちなんですねー」

的な事をたまに言われたりするのですが、
全くもってそんな事はありません。

確かに経済誌の記者や編集長だった頃は、立場上名だたる有名人を取材する機会に恵まれてはきましたが、

それは会社の看板あってこそ向こうも会ってくれるわけで、

間違っても孫さん個人から
「ヘイ!よっしー! 今度出資しようと思ってる○○って会社の情報教えてよ」
みたいな連絡がくる訳ではありません。

向こうはおそらくこっちの名前も覚えちゃいないし、あくまでも数多いる中の一インタビュアーとして相手をしてくれているに過ぎないからです。

まぁ、有名人でも何度かお会いした方々なんかは、たまにバッタリ道端で会ったりすると
「やあ、元気?」
くらいの声掛けはしてくれますが、間違っても個人的に金貸したりはしてくれません。

経済誌という独特の世界

ただ、自分がこないだまで所属していた経済誌(あえてビジネス誌とは書きません)には、
少し前までそういうネットワークづくりが抜群に上手い人がいて、大物経営者や政治家などと個人的に繋がって商売に活かしている人もいます。

さらに言えば、経済誌はそうした表には出ない人脈をマネタイズする活動(違法という意味ではありません)、つまり相手が欲しがっているものを察知する嗅覚を駆使して生きながらえてきたのです。それは具体的には人との繋がりだったり金に繋がる情報だったりします。

この世界に入った当初は、どうやったらそういう事ができるんだろう?と、人脈作りが上手い人を観察して出来たら真似しようなど考えたりもしたのですが、すぐにやめました。なぜなら

向いてない

と思ったからです。

社会的影響力のある経済人や政治家達をお世話して、恩を売り、コミュニティ的なものをつくり、
関係性を構築して最終的に自分の勢力圏を拡大する。

経済誌の全盛期ほどではないにせよ、情報がオープンになったこの令和の時代にもそんな手法で食ってる人は存在します。それはもう立派なセルフブランディングだし、そういう術に長けた人はシンプルに尊敬に値します。

仕事の付き合いも飲み屋のスタンスで

ただ自分は気が利く方ではないし、会食とか異業種交流会とか面倒くさいし、世間的に偉いと思われてる人に対してもどちらかと言えば別に関係ねーやと思ってる方なので、おそらく所属していた雑誌の歴代編集長の中では最も人脈(この呼び方もなんか嫌いだけど)作りが下手くそだったと思います。

会社的にはそれでは良くないし、自分的にもまずいのかなと思ってはいましたが、割とこの世界で続いたのは、やはり世間で一流と呼ばれる人達を見るのが面白かったからです。

話のテンポや雰囲気が自分と合う、合わない等はありますが、彼ら、彼女らはこちらがしっかり準備をしていけば取材の現場では真摯に対応してくれるし(当たり前だけど)、たまに人間臭さも醸し出したりして、概ね楽しむ事が出来ました。すんごい立派な哲学を述べていた社長さんや政治家さんが警察のご厄介になったりするのを見たりすると、本当に「人間を学ぶ道場」と言えました。

そんな中でも「この人と今後も縁ができたら付き合うし、出来なかったらそれまで」と思っていました。

結果として、「吉田は取材相手が誰でも態度が変わらない」と良い意味でも悪い意味でも評されるようになりました。良い意味は忖度せずに客観的に取材ができるという点で、悪い意味は経済誌の人間がそれじゃダメなんじゃない?という意味で。見城徹さんなんかは「相手と癒着せよ」「内臓を擦り合わせるような付き合いをしろ」とおっしゃってますが、その意味では自分はダメ編集者でした。だってオッサンと内臓擦り合わせるの気持ち悪いし。

感性が死んでるのか、一流の人物が醸し出すと言われるいわゆるオーラみたいなものを感じた事もあまりありません。ただ、取材が終わった後に不思議と気分が凄く高揚する人はいました。それは有名、無名に関係なく波長が合う、話し方が心地よい、身のこなしがカッコいい、考えてる事がバカで面白い等々、さまざまな理由がありますが、飲み屋でくだらない話をして高揚するのと全く同じです。 

で、そんな付き合いをしてる人達とは何かのきっかけで仕事で付き合うようになる事があります。実際、フリーになって声を掛けてくれる半分以上はそんな人達です。

「快」を基準にする仕事


そんなお互いに取って「快」の関係性にある人達にもっと時間と体力を使いたい、と思いつつ、会社員の立場だとどうしても「不快」とも付きあわざるを得ない場面が多くなります。ただし、不快は100%悪い訳ではありません。不快を通じて自分は何が嫌なのかがハッキリ分かるからです。例えば同じ作業でも、この人とやるのは気持ちいいけどこの人とは苦痛というのが見えてきます。

不思議な事に仕事でちゃんと結果が出るのは「快」の関係性を築けた人の案件が圧倒的に多い。当然、こちらだけ気持ち良くてもダメで、お互いに同じレベルの気持ち良さを感じているのが大事です。ちなみに将来法人作ったら社名どうしようかなーなんて話をしてたら「株式会社マスターベーション、略してマスタベなんてどう? イノベーションみたいでカッコ良いし」と素敵な提案をしてくれた友人が居ましたが秒で却下しました。それ自分だけ気持ちいいやつやん、俺のポリシーと真逆やん、いやその前にベーション縛りで考えるのヤメれ。

幸いな事に、50歳になっても健康バカなので今のところ体力は問題ありません。でも、働けるのはあと20年くらいかなと考えると、やはりこの先は快を感じられる仕事を出来るだけ増やしたい。それが組織を飛び出した大きな理由です。

そんな訳で、インタビューやライティング、PR支援の仕事について、個別でもそれらの掛け合わせでも絶賛募集中です。一緒に気持ち良くなりましょう。あと言い忘れましたが、いただけるお金が増えるほど快レベルも上がったりしますので、そこも知っておいていただけると幸いです。

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