【フィルム写真】 標準現像液D-76は自分で作るのがオススメ。
今回は、コダックD-76現像液をぱぱっと作ってみるというお話です。
動画もあわせてどうぞ:
ザ・標準現像液、コダックD-76
世界で一番使われてきたモノクロ写真用の現像液といえば、コダックD-76でしょう。1927年に発売となったクラッシックな現像液です。現在では標準現像液として確固たる地位を築いた、王道の現像液と言えるでしょう。
ということで、ひさしぶりにD-76でフィルム現像をしてみようと思ったんですが、パッケージが使用期限切れでした...
D-76を自家調合してみる
ないなら作ろうということで、D-76を薬剤から作ってみることにしました。1リットルのD-76現像液の原液を作るのに必要な薬品の分量は次の通り:
KODAK D-76
=====================================================
Water (温水)50-55℃ 750 g
Metol(メトール) 2 g
Sodium Sulfite (無水亜硫酸ソーダ) 100 g
Hydroquinone (ハイドロキノン) 5 g
Borax (ホウ砂) 2 g
Cold Water (冷水)to make 1 liter
日本だと、ヨドバシとかで全部の薬剤が手に入るはずです。僕の場合は、USにあるPhotographer's Formularyでオーダーしています。
左から、
Sodium Sulfite (無水亜硫酸ソーダ)
Metol(メトール or メトールサン)
Hydroquinone (ハイドロキノン)
Borax (ホウ砂)
D-76は、4種類の薬剤しか使いません。
ちなみに、メトールとハイドロキノンを使った現像液は、Metolと hydroQuinoneということで、よくMQ現像液と呼ばれます。昔からある、そして今でも使われている古典的な処方ですね。
今回は500ml分作るので、薬剤の分量はそれぞれ半分ずつにして量っておきます。
水は55℃の温水を用意しておきます。
電気で動くマグネチックスターラーを使って撹拌します。ビーカーに水を入れて、マグネットをそのビーカーの中に入れて、スイッチを入れると、マグネットがビーカーの中で回転して、水を攪拌してくれます。そのかき混ぜる強さは、水の渦ができるくらいの威力。
最初は、量った無水亜硫酸ソーダ50gの内、1スプーンだけすくって、ビーカーに投入します。これによって、後でメトールを入れた時にメトールが酸化するのを防ぎます。
あとは、メトール、無水亜硫酸ソーダ、ハイドロキノン、ホウ砂を順番に投入して混ぜていきます。1つの薬品を入れて撹拌し、それが完全に溶けてから、次の薬品を投入していくようにします。
すべて混ぜ終えたら、水を500mlになるまで入れて、
500ml分の、D-76現像液の出来上がりです。
僕は、ワインボトルに現像液は保存しています。できた原液は、そのままで使ったり1+1など水に薄めて現像液として使います。
改良版のD-76Hも自家調合してみる
今回は、D-76の改良版、D-76Hも作ってみました。D-76は、日にちが経つと、ハイドロキノンがアクティブになって、コントラストが変わってしまうという欠点がありました。D-76Hでは、そのハイドロキノンを取り除き、他の薬剤の配合を変えることで、コントラストが変わってしまうという問題を解決しています。
1リットルのD-76H現像液の原液を作るのに必要な薬品の分量は次の通り:
D-76H
===============================================
Water (温水)50-55℃ 750 g
Metol(メトール) 2.5 g
Sodium Sulfite (無水亜硫酸ソーダ) 100 g
Borax (ホウ砂) 2 g
Cold Water (冷水)to make 1 liter
作り方は、D-76と同じように、1スプーンの無水亜硫酸ソーダから、溶かしていって、メトール、無水亜硫酸ソーダ、ホウ砂の順番で、それぞれ投入し攪拌していきます。今回は500mlの現像液を作っているので、薬剤は1リッターの分量の半分です。最後に、水を500mlになるまで注いで、500mlのD-76Hの出来上がり。
D-76Hは薬剤が3つしかないので、簡単ですね。
というわけで、D-76と、D-76Hができました。現像液は、ワインボトルに入れて、バキュビンで栓をして、空気を抜いてあります。
使用したカメラとフィルム
カメラは、Leica M2、
レンズは、Summicron 5cm f/2、
フィルムは、Kodak TRI-X 400
で撮影しました。
いつものようにイエローフィルターを付けています。
ライカに、ズミクロン、TRI-Xに、D-76現像液。まさに王道の組み合わせではないでしょうか!
D-76とD-76Hの比較
ということで、1枚だけ同じ景色、同じ露出で、D-76とD-76Hと現像液を変えて、現像してみました。
まずは、D-76で現像。(1:1希釈)
次は、D-76Hで現像。(1:1希釈)
ほとんど変わらないですね。これだったら、薬剤の少ないD-76Hでも十分いけそうです。
D-76Hで何枚か撮ってみました
ということで、D-76Hで現像した写真をいくつか。場所はボストンのパブリックガーデンでした。
D-76Hで現像したTRI-Xは、フィルム粒子も細かくクラッシックな写りで仕上がりますね。
まとめ
どんなフィルムにも合ってしまう、現像液の王道、D-76とその改良版D-76Hを作ってみました。D-76は、薬剤を3、4種類混ぜるだけで、あっという間に作れます。D-76のパッケージを買って期限切れを気にするよりも、自分で作れば、いつも新鮮な現像剤を作れます。D-76だったら、自家調合はオススメです。
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