ティーンエイジ・ファンクラブ「バンドワゴネスク」30周年
『バンドワゴネスク』リリース30周年
今から30年前の今日、1991年11月19日、ティーンエイジ・ファンクラブのアルバム『バンドワゴネスク』がリリースされた。
1991年はグランジがオーバーグラウンドに顕在化し、オルタナティブロックがごく普通のロックファンにも聴かれるようになり、その後の音楽シーンのあり方を一変させたエポックメイキングな年だった。
そんな1991年も終わろうとする時期にティーンエイジ・ファンクラブはセカンドアルバム『バンドワゴネスク』をリリースしている。
ズル休みのBGMとして最適な本作
この時、私は大学2年生。1年生の時に一般教養の単位はほぼほぼ取得しており、かなりゆったりとした学生生活を送っていた。まぁ、ハッキリ言ってダラダラしていただけなのだ。
そんな10代最後の冬にかなりハマッたレコードが本作『バンドワゴネスク』だった。
グランジが全てを焼き払った荒野にノイジーなギターとセンチメンタルなメロディーをこれでもかと奏でた本作は、ダラダラと生活する10代最後の冬を木漏れ日で照らしてくれるようで、私のモラトリアム期のサウンドトラックとして鳴り響いた。
大学に登校するつもりで、目覚まし時計のアラームを7時にセットしてはみたものの、アラームで朝、目覚めても寒くてベッドから出たくない。「あ〜、もう、いいや。今日は自主休講」と決めこんで、昼前までベッドの中でダラダラ…そんな時に部屋でかかっていたのが、本作『バンドワゴネスク』だった。
寒い日の午前中、柔らかい冬の日差しが差し込む東京郊外の2階部屋、ベッドから出られず、布団に包まってまどろんでいる時の最適なBGMとして、私を包んでくれたのだ。
ティーンエイジ・ファンクラブ『バンドワゴネスク』は、ノイジーなギターの音色からグランジに対するグラスゴーからの回答なんて言われていたけど、グランジの殺伐とした雰囲気とは正反対で、人懐っこくて、おおらか、優しさすら感じられる音像だ。
ズル休みの罪悪感とセンチメンタルな気分がごちゃまぜになって「あぁ、オレってダメ人間じゃん…でも、ズル休みって最高だなぁ…」って調子で最低なのに最高な気分でズル休みを肯定してくれるのだ。
30年前より温暖化
今年の冬は寒いのかな?
あれから30年が過ぎた。
私もアラフィフのサラリーマンになって、さすがに軽い気持ちでズル休みができるほどの無責任さは持てない“普通の大人”になったけど、仕事においてオンとオフの切り替えは若い頃より上手にできる大人になった。
さて、今シーズンの冬は寒いのだろうか?
30年前よりは温暖化の話題がシリアスに響く現代だけど、きっと布団から出るのに気合いを入れて「エイ、ヤーッ」って起きなくてはならない朝もたくさんあるだろうな。
たまには30年前の寒い朝のように布団の中でまどろんで、ズル休みを決め込みたい。
何が悲しいのかもハッキリしない寝ぼけた心でため息ついて、ダラダラするのもアラフィフ・サラリーマンには贅沢な休日のような気がしてならないんだよな…
もちろん、そんな時は『バンドワゴネスク』を聴きながらダラダラとしたいよね。
〈筆者のDJ活動のお知らせ〉
私、岡田浩史は、都内、主に多摩地区でDJとしても活動しています。私のプロフィールページで紹介しますので、併せてご覧いただき、ぜひご参加ください。
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