2021年の思考の深掘り
2021年はつくることに奮闘しすぎたので、じっくりと思考する時間がなかった。
モノをつくった分だけ思考の枝は増えるので、外界からの知識の雨を吸収しながら、軸となる幹を太く高く伸ばしていきたい。
ということで、気になる本をかき集め、つくりながら考えた思考がどういうことだったのかを、深掘りしている最中である。深掘りしていると、新しい知識と共に、思考していた内容が統合され一つの軸になっていく感覚がある。呑み込んだこと忘れないように自分のための記憶のメモとしてここに記述。
【今日のメモ】 は、
NHKオンデマンド「100分de名著 レヴィ=ストロース"野生の思考"」について
NHKオンデマンドを初めてみたけれど、伊集院光さんの問いかけと中沢新一さんの解説が分かり易くおもしろかった。
「野生の思考」の根源的な構造主義の話は本を読みながらまとめるとして、今回はレヴィ=ストロースが日本を見て学んだという「労働の概念」について、自分の思想や活動に取り込める言葉があったので、まとめておきたい。
【労働の概念】
フランス語で「労働」は「travail」と訳されるらしい。「travail=労苦・苦痛・勉強」の意味があり、レヴィ=ストロースが目にした日本の働き方に「travail」は当てはめられないと考えた。その時代の日本には仕事を「労働」としていない景色があったのだろう。動画で次に出てきた言葉は古代ギリシャ語の「Praxis」と「Poiesis」である。
【Studio MumbaiとPraxis】
なんとこの「Praxis」は、インドでのインターン時代に働いていたStudio Mumbaiで掲げれれていた言葉。
という概念の元、大型モックアップやスケッチ、素材のスタディが行われていた。ここでの思考方法は今の自分のテストを繰り返すものづくりの方法にとても影響を与えている。
【PraxisとPoiesis】
レヴィ=ストロースは「Praxis=人間が自分自身の目的のために事物を使用する」と位置付けるのに対し、「Poiesis=事物をそれ自体の目的のために作り出す」と語っている。Praxisはモノを人間の理想的な形に変えていくのに対し、Poiesisはモノが持っている特性を押し出して形にしていく、ということであった。
【PoiesisとStudio on_site】
Studio Mumbaiで学んだ手法を、フィリピンやウガンダ、そして日本で実践する中で、自分の作り方は実に「Poiesis」的であると思う。土地にある素材・職人との対峙、そこからできる形がどのようになるか、制御しきらず成るような形として設計していく。レヴィ=ストロースがPoiesisを日本人的であるというのだから、この設計手法を自分がしていることがおもしろいし、これからより意識して続けていきたい。
【次のまとめは「大地の再生と建築」?】
またレヴィ=ストロースは、Poiesisの手法が民藝に通じ、日本の里山もその一端であるとしている。去年思考したプロジェクトの中に民藝や里山的なものが含まれているので、この概念をつなげていきたい。
ということで、次回はずっとまとめようと思っていた、里山的な機能を持った建築の作り方をしたプロジェクトである「守山フルーツランドの竹マルシェ」ついて書こうかなと思う。
では、メモ書きは以上!