赤道を横切る:はしがき
はしがき
昨年【1936(昭和11)年のこと】11月15日の帰台以来、公私多忙、早速島内各地の講演会に引き回され、引続いて年末となり、落ち着いて材料整理も出来なかった。やっと年を越して1月10日からいよいよ起稿し、ようやく2月14日脱稿した。この間36日、その三分の二は宴会に妨げられ、不時の来客や用件もあって正味の時間は沢山ない。それがため毎夜午後12時近くまで執筆したから、我輩としては相当の労務であった。それでも、とにかく観察日記と随所随感を述べ尽くしたのは満足である。た