マガジンのカバー画像

赤道を横切る

21
祖父・三巻俊夫が昭和11(1936)年に台湾から鳳山丸をチャーターして南洋を巡った旅行記です。
運営しているクリエイター

2023年2月の記事一覧

赤道を横切る:第6章 海防

明くれば10月7日、午前7時ノルウェー灯台を距離5カイリに通過、8時48分水先人乗船クアカム河口…

1

赤道を横切る:第5章 海口 

10月6日いよいよ船齢29年の老嬢、鳳山丸の南洋処女航海が始まる。午前中二等サロンで漏れなく…

赤道を横切る:第4章 香港・澳門

(広東からの帰途)午後4時50分発車、同7時50分九龍帰着、直ちにフェリーで香港側に渡ったが、…

赤道を横切る:第3章 広東

夕刻汕頭【せんとう、あるいは、すわとう】沖通過、十六夜の名月を船窓から眺めつつ本船は14ノ…

赤道を横切る:第2章 難航の鳳山丸

野柳鼻【やりゅうび。野柳岬ともいう。台湾最北部の景勝地】を過ぎて富貴角灯台を望む頃、昼食…

赤道を横切る:第1章 出発

書こうか書くまいか、今度の紀行文はだいぶ考えた。だいたいが観光旅行で調査研究を目的としな…

赤道を横切る:はしがき

はしがき 昨年【1936(昭和11)年のこと】11月15日の帰台以来、公私多忙、早速島内各地の講演会に引き回され、引続いて年末となり、落ち着いて材料整理も出来なかった。やっと年を越して1月10日からいよいよ起稿し、ようやく2月14日脱稿した。この間36日、その三分の二は宴会に妨げられ、不時の来客や用件もあって正味の時間は沢山ない。それがため毎夜午後12時近くまで執筆したから、我輩としては相当の労務であった。それでも、とにかく観察日記と随所随感を述べ尽くしたのは満足である。た