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読んだり読まなかったりして生きて行く「ジーキル博士とハイド氏」4冊
まんがで読破「ジキル博士とハイド氏」
岩波少年文庫「ジーキル博士とハイド氏」
ポプラポケット文庫「ジキル博士とハイド氏」
光文社古典新訳文庫「ジーキル博士とハイド氏」
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8月の活弁上映会「ひとりのビッグショウinピカイチ」で上映したのは「狂へる悪魔」という映画で、原題は「Dr. Jekyll and Mr. Hyde」そう、二重人格者を主人公にしたスティーブンスンの小説です。原作はうっすら読んだ記憶はあるものの、改めていろんな翻訳のものを読み比べてみることにしました。岩波少年文庫、ポプラ文庫、光文社古典新訳文庫、そして「まんがで読破」シリーズです。
まんがで読破シリーズは、いわゆる古典文学の名作を漫画でわかりやすくというコンセプトで、電子書籍でも読めます。描いている漫画家や脚色をした人のクレジットがないことや、原作をかなり改変している(この作品だけ……ではなさそうです。確認のため他のを読むつもりもないけど)ところが気になりました。ジキル博士に助手がいたり、アタスンに浮気している妻がいたり、とどうもこれはいただけないなあと思ったことです。
光文社古典新訳文庫版、岩波少年文庫版は、著者の言葉を重んじて主人公の科学者(医者)の苗字を「ジーキル」と伸ばした形にしています(活弁では、それに倣いました)。古典新訳文庫の方は東雅夫さんの解説がとてもお得な感じで、明治時代、この作品がイギリスで舞台化されたときに早々とそれを見ていた日本人がいたことや、舞台化、映画館されたときに大きく変えられた点について、とても重要なしてきfがあったように思います。そして翻訳者のあとがきでそういえば、と思ったのが「この作品に出てくるのは、中年(老年)の男だけ」という指摘で、いわゆるホモソーシャルな世界で展開する物語であることを強調されていましたが、確かにそうなのですよね。今回改めていろいろなバージョンを読んでみて、恥ずかしながらちゃんと読んだのは初めてだということを確認しましたが、読んだ気がしていたワタクシの脳内の「ジーキル博士とハイド氏」との違いを含めてなかなか興味深い体験でした。
ポプラ社の文庫(少年少女向け。今作は、最後のジーキルの手紙の一部に手を加えている模様)と岩波少年文庫は、ほかの作品も読んでみたいと思ったことであります。