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令和6年度Hiroshima FOOD BATON募集セミナー 兼 採択者商談会・相談会レポート

2024年5月16日、広島市中区にこの3月にオープンした、「牡蠣と肉と酒 MURO」というフードバトンプログラム参加者である小野氏のお店で、「広島県農林水産局販売・連携推進課」が主催する食のイノベーション推進事業「Hiroshima FOOD BATON」令和6年度の募集セミナー 兼 採択者商談会・応募個別相談会が行われた。

バリューチェーン全体に切り込み、
食の“稼ぐ力”を向上させ、新しいビジネスを創発させる。

プログラム冒頭では主催者側から本事業全体の趣旨、採択者の評価ポイントなどについて説明があった。R6年度の事業では農業分野に加え水産分野にも対象を広げた募集テーマを設定し、応募を受け付けている。採択プロジェクトに対して、最大300万円の事業補助、専門家による事業計画の具体化・事業伴走支援、そして事業推進のために必要なパートナーマッチングなどを行い、応募者の新しいビジネス創発に向けた支援を実施する。

合同会社MHDF(事務局)山中良太氏による事業概要説明

主催者側からの事業全体の説明の後に、これまでの採択プロジェクトの取り組みに関するプレゼンテーションが行われた。

<当日の式次第>
・主催者挨拶
・Hiroshima FOOD BATONの募集概要の説明
・これまでの採択プロジェクトの事業紹介(HIROSHIMA HYBRID DESIGN、薬局DE野菜)
・採択事業者のトークセッション(HIROSHIMA HYBRID DESIGN)
・商談交流会、応募個別相談会

―令和4年度採択プロジェクト成果発表① ~薬局 DE 野菜~
令和4年度採択プロジェクトである、「薬局DE野菜(やっきょくでやさい)」の説明が行われた。 薬局DE野菜はその名の通り、薬局での野菜販売を通して広島の農業の新しい販路を構築し、こだわり野菜と健康を結びつけた新ブランドの確立を目指している。その特徴は、収穫後24時間以内に届けられる「鮮度」と珍しい野菜が手に入るという「希少性」、そして「生産者」との直接のつながりだ。令和5年度は薬局37店舗に納入。当初は35軒の生産者と取引を行う計画だったが、野菜の品質を保つため15軒に減らし、1軒あたりの取引額を増やす方向にシフトした。また導入時の障壁だった店舗側のオペレーションを軽減するため、商品を限定した「健康サポート野菜」という新ブランドを設立。現在薬局4店舗に加えセブンイレブン30店舗で広島県産トマトの試験販売をスタートさせている。

薬局 DE 野菜の竹内氏の代わりに合同会社MHDF(事務局)の山中氏による紹介

―令和4年度採択プロジェクト成果発表② ~HIROSHIMA HYBRID DESIGN~
令和4年度採択プロジェクト、最後の登壇者は「HIROSHIMA HYBRID DESIGN(ひろしまハイブリッドデザイン)」の小野敏史氏だ。
HIROSHIMA HYBRID DESIGNは広島の価値を最大化し、世界へ届けた上で、ものづくりを次世代につなげることを目指している。具体的には広島産食材の加工・販売を通して県外外貨を獲得することが目標だ。その手段として用いるのが超瞬間冷凍技術。店のできたての味、とれたての鮮度をそのまま商品化できる技術を用いて、廃棄野菜を使った無添加スープブランド「Re soup」6種類を展開。他にも広島生牡蠣と瀬戸内ケールを使った焼餃子、広島県三原市の人気店「塩そばまえだ」の塩そば、広島熟成鶏のとろとろレバーとほうれん草といったメニューを開発し、紀ノ国屋広島三越店や飲食店に卸している。

HIROSHIMA HYBRID DESIGN(ひろしまハイブリッドデザイン)の小野敏史氏

ートークセッション Hiroshima FOOD BATON採択者に聞く、採択から軌道に乗るまでのエピソード
2つの採択プロジェクトの取り組み紹介が終わったところで、HIROSHIMA HYBRID DESIGNの小野氏と、事業の取り組みにあたり、キーとなる生産者とのトークセッションを実施した。 HIROSHIMA HYBRID DESIGNの瞬間冷凍の技術を生かしたプロジェクトの立ち上がりから今に至るまでのエピソードをお話しいただいた。小野氏のプロジェクトに必要不可欠なものが、"広島県産の良い食材"、そして"素晴らしい商品を作っている生産者とのつながり"。その生産者の代表として、"怪獣レモン"を販売している瀬戸内百姓の山岡氏、そして"かきむすめ"の生産者である、音戸海産の栗原氏。お二人の生産者の方との出会いから、商品化までのエピソードが語られた。両者共に、"良いものを作りたい、そして届けたい"という思いが共通しているからこそ、"評価されるものが作れている"という小野氏の言葉があった。

HIROSHIMA HYBRID DESIGNの小野氏と"怪獣レモン"を販売している瀬戸内百姓の山岡氏
HIROSHIMA HYBRID DESIGNの小野氏と音戸海産の栗原氏

―交流会・個別相談会
成果発表、トークセッションが終わった後は交流会・個別相談会が開催された。HIROSHIMA HYBRID DESIGNの瞬間冷凍技術を活用した食材などが並べられ、試食しながらの交流会となった。

交流会は、小野氏の瞬間冷凍技術を活用した食材を囲みながら開催
交流会の様子
瞬間冷凍技術を活用して誕生した年中食べられる生牡蠣
瞬間冷凍技術を活用した比婆牛のステーキ
個別相談会の様子

今年は最長3年間の支援を謳うHiroshima FOOD BATONにとって初めて「卒業生」が生まれる年。彼らがどのような結果を出すか、また現在の活動に触発されて新たにどのような事業者が参加するのか、注目の年になるだろう。