県議会傍聴に行ってきました!(2020/1/17 総務委員会)
パブリックコメント締め切り明けの本日、広島県議会の総務委員会が行われました。昨日までみなさんが書いたパブコメがどう受け止められるのか、会議の現場を見てみようと、傍聴に参加しました。
メンバーそれぞれ、現地の県庁舎に行ったり、Youtubeの中継で会議を見守ったり。
そもそも県議会の傍聴するのなんて初めてなので、迷いながら議会棟へ。議場ではなく別室のモニターを見ながら、片耳の音声受信機でたまに途切れる音を必死に聞きながら、傍聴しました。
新年の挨拶と、出席者の確認の後、委員会が始まりました。
(傍聴室に閲覧用に置いてあった資料です)
足立財産管理課長:
(資料を元に説明されていたので、口頭で加えられた説明メモ)
パブリックコメントについて
最後3日間で急激に伸びた。昨日11時時点の数がこの資料の内容。
11時以降もメールや郵送できているものがあるので、到達時刻によって最終的な数がもうすこし増える予定。
・単純に「全棟保存すべき」も「全棟解体」も「反対」に含まれる。
これから精査が必要。
・県外から寄せられた意見は「反対」が多い。
・40代、50代の回答が多かった。
・過去最高件数の意見。内容をできるだけ早く取りまとめたい。
石津議員(公明党・福山市):
年末〜年始にかけてメディアでもよく取り上げられていた。
今年は被爆75年。国際情勢を見ても、広島の悲願の核廃絶、見通しは暗い。
広島に住む者として核兵器の悲惨さを後世に伝えていかないといけない。
その一翼を担うのが被爆建物。
アーキウォーク広島の高田代表のオピニオンが中国新聞に掲載されていた。
「被服支廠は原爆ドームに匹敵する価値がある。」
しっかりと残すべき。会派もそう主張している。
平和学習の場・被服支廠の展示をする資料館としての活用も可能。
費用が膨大としてこの度の方針になっているが、改めて利活用を真剣に検討すべき。民間の外部資金投入も高田さんは提案され、みんなで摸索すれば道は拓かれる、とも。
民間の外部資金投入について、検討されたことはないか。
足立課長:
現時点で保存のための寄付・クラウドファンディングをする予定はない。
活用策が決まらないとそれは進められない。
石津議員:
ぜひいろんな活用の意見を見ながら、検討していただきたい。
広島市の松井市長の発言の中に、被服支廠について県が示した方針について、議論が不十分で、もっと幅広い関係者を交えた話し合いが必要、というような内容があったが。
足立課長:
広島市長の発言は知っているが、県としては、国・県・市でH28年以降に部会を立ち上げて検討してきているし、平成4年以降、瀬戸内海文化博物館構想やエルミタージュの構想であったり、過去ずっと検討はしている。
議論がされているかどうかはいろんな見方はあるが、
広島市の方でも、旧理学部1号館についても、議論を尽くした上で一部保存という結論になった。
被服支廠の場合は旧理学部1号館と違って、4mを挟んで民家がある。住民の安全対策が喫緊課題。
石津議員:
ぜひ市とも議論をしていって欲しい。
新年の新春寄稿で、「かろうじて人類が核戦争をせずに済んだのは、広島の地からの発信の影響があった」というような文があった。世界の不安定な状態だからこそ、広島から平和の波を起こすべき。住民の意見、県のみなさんの思いを起こすきっかけに、こういった議論がなっていくはず。
瀧本議員(民主県政会・広島市佐伯区):
パブリックコメントの中で最大。この件について、県内外から多くの賛否両論あるにしても、関心が寄せられていることは間違いない。
中身の精査はこれからと思いますが、今後このパブリックコメントをどのように県の方針に反映をしていくのか、現時点の思いを聞きたい。
足立課長:
パブリックコメントはあくまで多様な意見を考慮した意思決定を行うために、参考にするもの。施策について賛否を決めるものではないし、「賛否が多い方で対応する」という趣旨のものではない。
多い方の意見も少ない方の意見も一つの意見として扱う。
瀧本議員:
今の県の方針について多くの意見が寄せられている重みは受け止めてもらいたい。
保存する・しないはあるが、長年野ざらしになっていた建造物が、このままだと危険な状態ということ。
多くの意見の重みを受け止めるという意味で言うと、じっくり考えることになる。
一方で喫緊の課題として危険性は除去しないと、と課長もおっしゃっていた。
その点もよく認識されて、次のステップに行っていただきたい。
(その後別の議題の質問をはさみました)
井原議員(広志会・東広島市):
いろんな話を聞いているとね、このパブリックコメントとはなんだったのかと思うんです。
1棟残して、2棟解体する。この政策の有り様を問う、これのみですか。
足立課長:
12月4日方針を出した後、平和団体・被爆者団体などから要望書が出されたりと数多く意見があった。そこばかりクローズアップされるのではなく、一般の県民の方はどう考えているのかという意図で出された。
井原議員:
現行の政策について「反対」。明確な答えが出ていないじゃないか。
それは却って混乱をきたすだけではないか。
Yes or No。Noならもう一回立て直すしかない。
20年前からずっと十人十色の意見を並べて続けている。ここにきてまたこうなっている。
壊れたらどうするか。誰かが怪我するか、誰かの財産が損害を受けるかもしれない。
建物がなくなることで、都市のポテンシャルがなくなるかもしれない。
結局は、何をどう使うのか、どう処理をするのか、いつまでに誰の責任でやるのかをはっきりさせないと。これはもう財産管理のマターではない。地域政策のこと。
どう考えてどう使うのか。あくまでここまでいろんな意見が出た以上、判断する仕組みを作らないといけない。
財産管理という観点ではすまない。
総務局長や地域政策局長はどう思うか。
小寺総務局長:
様々な意見をいただいている。まずは財産管理と危険の除去が喫緊の課題。
それはそれできちんとやりながら、並行して利活用も。二つに分けて検討している。
今後平和の利用も含めて連携も検討していきたいが、現時点での決定的な方針はない。
井原議員:
今の答えだと、1棟のこす、2棟除去でいく、それが基本、ということですか。
3棟残すべき、という意見もある。それは活用方法の問題。ずっと語られてきた。
いろんな利活用が出ては、難しい、金がない…でももう先送りができない。
震度6で崩壊するんですよ。喫緊の課題です。
なんで「3棟残すんだ」も含めて多様な意見が出るようにしちゃうんですか。
これじゃあ結局結論が出ない。
全棟残す、全棟補強政策もしただけで、活用策が決まらないまんままた20年いくんですか。どうなんですか。
アンケートやパブリックコメントは簡単にとっちゃいかんと思うんですよ。
2000件の意見のうち、何割かは殺す事になる。よほど覚悟をもってやることです。
1棟残した後2棟は除去する提案をして、意見を求めて。話が完全に変わってしまっている。
木村財務部長:
何点かの論点がありましたね。
・パブリックコメントの良し悪しと目的。
県民の方からの幅広い意見を聞いた。覚悟を持ってやった。
幅広く意見を聞くことは問題解決のために大切だと考えた。
・集まった意見の内容について。
昨日までやっていたのでこれはあくまで速報。
まさにおっしゃっていたように、単純に「反対」にも様々な意見がある。
中身をきちんと精査して、できるだけ早く開示したい。
これは速報だと理解して欲しい。
・いつまでに何をどう決めるか。
12月に方針を出させてもらった案では、並行して議論していくというもの。単純に壊す・残すだけで、利活用はやらないということではない。
井原議員:
少数多数で意見を判断しない、と言われたが、これは非常に大事な部分。
その他を除いた「賛否」でみるともっと率は高い。
令和2年度の予算の中で、方針は明確に出していくとおっしゃっていたが、これでは出てこないのでは。今パブコメやって、内部討議やって、有識者の方と話して…
これだと令和2年度の予算には間に合わないのではないか。
足立課長:
編成過程の途上ですので、間に合わせるべく調整したもので伺いたいと思っている。
木村財務部長:
パブリックコメントの数について。
あくまで統計的なものではなく、意見を広く募集したものなので、
関心の高い低いのところで数が変わっていくというのを申し上げます。
反対の中の意見、賛成の中の意見、の数字は使える部分もあるかもしれない。
そういった部分を考慮して今後分析していきたい。
井原議員:
もともとの設問がおかしい。設問を変えないといけない。
これからまた協議することにならないと、出した方々に対して無礼ですよ。
もともとの質問が的を得ていない。
今社会が何をテーマとしてこの問題を捉えているのか、本当に理解できていたのか。
そこをしっかりつかまえないと、何度やっても同じことになりますよ。
それがなくて、新年度予算に方針を出せる、とどうして言えるのか。
令和2年度の予算に間に合うかどうかは、いつわかるのか。
足立課長:
1月下旬〜2月上旬。
井原議員:
明快なパブリックコメントの解析はいつできるのか。
それと同時に、それだけをもって県が全てを決める訳にはいかない。
今まで言ってきた人への説明もしていかないと。2月の頭なんてできっこない。
今17日ですよ。あと2週間。分析、関係調整はできない。
個人的には、やる気がない、できなかったという、そういう風に見える。
十人十色様々あったから今まで決めきれなかった。その間に目の前の建物は劣化して。
4棟保存という方〜全棟除去という多様な意見の中で、
みんなの多様な意見が出て、というけど8割の意見は殺される。だから不満が残る。
委員長にお願いしたい。パブリックコメントが正確に出たら討議をもう一度開いて欲しい。委員会を開いて欲しい。
平本徹議員(総務委員長・広志会・安芸郡):
副委員長と相談をして、報告します。
畑石議員(総務副委員長・自民議連・広島市東区):
被爆建物の価値は多くの方が理解している。
利活用を決めずに保存する例はどの程度あるのか。
足立課長:
申し訳ないが、県は把握していない。
県は、被服支廠とかつて水上警察ということで、港湾振興事務所の木造のもの、2カ所がある。大きい建物で言うと、広島大学旧理学部1号館。活用の方向がまだ完全に決まってないもの。
畑石議員:
原爆ドームを除いては、旧日本銀行広島支店や本川小学校など、利活用しながら保存しているところが多い認識。
原爆ドームは爆心地直下で平和公園とともに資料館と含めて一体を整備していて、場所に意味があると個人的に思う。
一方で被服支廠の出汐の場所。4棟並んで壮観な景色であることを除いて、あの場所にどんな意味があるのか。
足立課長:
大通りから一本入ったところにあるし、不動産鑑定士も、被爆建物でなくただの土地としては商業的な価値としては、マンションや住宅くらいの価値と聞いている。一方で、被爆の実相をつたえる建物だとか、平和団体から言われている価値、建築学の価値を考慮して、1棟保存という結論を出した。
畑石議員:
多額の費用をかける以上は、利活用策が不可欠。これまで長い年月をかけて利活用策を真摯に求めてきたが、妙案は見つからなかった。
百歩譲ってすばらしい活用策が見つかったとして、年間で今1000人の見学者がいるがそれが数万〜数十万の人が来たとして、あの場所は入り口が狭い。あそこにどれほどの人を受け入れる事ができるのか。近隣の方も望むのか、望まないのではないのか。
平和公園のように、あの場所に特別な意味があるわけではない。
例えばあそこの商店街が「ぜひ残して欲しい」というような、そんな要望も聞いていない。
心情面は理解できるけれども、心情面以外の、積極的に全棟残す、という理由は個人的に見つからないと思っている。1棟残す、3棟残す、というのは現実的に難しいのでは、というのが県民の多くの方の感覚では。
ではなぜ一棟残すのか、今は一棟か全棟か、みたいになっているが、なぜ一棟残すのか。
残した以上は維持費がかかるが検討されているか?
足立課長:
いろんな価値感がある中でバランスをとったのが、1棟を残すということ。
コストの話は当然利活用の話が伴う。どうなっていくかが判明しなければどのくらいのランニングコスト、などは出てこない。
畑石議員:
コンクリートレンガ造りで価値があるという話もある。建物を一部でも保存したいという声もあるが、1棟も巨大な建物。1/3残せば十分じゃないか、という考え方もある。
建物がないと被爆の実相を伝えられないのか。そうじゃない。
私個人としては、赤レンガ倉庫、すべて解体したほうがいいという立場だが、
広島城・理学部・平和公園、そういったところに持って行って、被爆の実相を伝える施設を整備することをしたほうが、よほど伝えられるのではないか。
陸軍の建物であり、広島の軍都の一部だった、という意見もあるが、
広島城の方で大本営について何も展示されていない。軍都であった事を示すのなら、広島城にそういった展示をすべき。ジオラマみたいに。VRの話も出ていたが、そういうものも含めて。
そういった展示の伝承のありかた、そういった検討を広島市との協議の中でしてこられなかったか。
足立課長:
そこまで具体的な話までにはいたっていません。
畑石議員:
1棟残すのであれば、利活用策が不可欠だと思う。
あの場所は非常に多くの方が来るように整備するのは難しい。地域で利活用するしかないのでは。
少子化次世代の特別委員会で石狩市のこども未来館あいぽーとに行った。
子供達がのびのび遊べるような施設にするのであれば、今33億円耐震補強と利活用に話されているが、半分は被爆の実相…半分は未来の子供達のために…というのであればできるのでは。
そういった行政施設とする事も、広島市と真剣に協議して欲しい。