AI 時代のコンサルティング提案に活きる「Mermaid記法」活用法
~ビフォーアフターのフローをAIで一瞬可視化~
最近、業務フローチャートやプロセスをサクッと可視化できる「Mermaid(マーメイド)記法」が、ソフトウェア業界だけでなく製造業やバックオフィス領域でも注目されています。
その背景には、AI(人工知能)の進化が大きく影響しているように感じます。AIを活用すると、面倒だったMermaidの学習コストや、ドラッグ&ドロップで図を作れないことによる不便さなど、多くのデメリットを大幅に軽減できるからです。
今回は、「AI時代のコンサルティング提案にも使えるMermaid活用法」 というテーマで、私の考えをまとめてみました。たとえば業務改善のビフォーアフターをフローチャートに落とし込み、文章と図でパッと提示する。そんな提案スタイルが、これからますます主流になっていくのではないかと感じています。
1. Mermaid記法とは?
Mermaid(マーメイド)は、テキストベース でフローチャートやシーケンス図などを生成できるオープンソースのツールです。ノードや矢印を文章(コード)として書くだけで、自動的に図をレンダリングしてくれます。
メリット
テキストで書けるので、Gitなどでバージョン管理しやすい
自動レイアウトで統一感ある図になる
フローチャート以外にもシーケンス図やガントチャート、クラス図など、多彩なダイアグラムに対応
GitHubやNotionなど多くのツールでネイティブ対応/プラグインが充実
デメリット
記法を覚える学習コストがある
ドラッグ&ドロップによる直感的な操作ができない
表現カスタマイズに限界がある(装飾やレイアウトの自由度が低め)
複雑な図をテキストで管理すると長文化しやすい
しかし、ここにAIが加わると話は大きく変わってきます。
2. AIがあればデメリットもクリアできる?
2-1. 記法習得のコストは「ほぼ不要」に
従来、Mermaidでフローチャートを書くにはノードや矢印の構文を手動で打ち込む必要がありました。しかし今は、ChatGPTなどの対話型AIに「こんな流れの図を作りたい」と伝えるだけで、すぐにMermaidコードを吐き出してくれます。
たとえば、
「開始→Aという処理→Bという判断→YesならCへ、NoならDへ」
といった曖昧な指示でも、AIがコード化してくれるので、自分でマニュアルを見ながらコツコツ書かなくてもOK。習得コストはほぼゼロに近いです。
2-2. ドラッグ&ドロップ不可もAIがカバー
「フローチャート系ツール」は、Visioやdraw.ioのようにマウスでノードを動かしながら形を決めるのが一般的。でもMermaidはテキスト記法なので、ドラッグ&ドロップ操作はできません。
しかし、「このノードを左側に寄せて」 とか 「線をもうちょっと曲げて」 といったリクエストすらAIに伝えると、テキスト上で適切にコードを修正してくれます。AIは単なる生成だけでなく、レイアウト調整や構成変更にも対応してくれるので、GUIがなくても困らないシーンが増えました。
2-3. 表現のカスタマイズも(ある程度)AIにお任せ
Mermaidはデザイン面の自由度が低いと言われています。しかし、微妙なラベル位置や色変更・アイコン追加など、「できる範囲内のカスタマイズ」はAIに指示すればすぐ反映可能。
実はMermaidには「サブグラフ(subgraph)」や「各種記号(()[]など)によるノード形状指定」など、細かい仕様がありますが、自分で全部覚えなくてもAIが提案してくれるため、思った以上に柔軟な表現ができます。
2-4. 複雑な図も「分割+要約」でAI生成
大量のステップを含む業務プロセスや複雑な分岐を持つフローは、コードが長くなりがちです。ところが、AIに**「このフローをサブプロセスごとに分割して作図して」と頼んだり、「ステップを要約してメリハリのある図にして」**と指示したりすれば、読みやすい全体図と詳細図を自動生成できます。
人が手動で頑張るよりずっと効率的ですし、完成後に何度でも再編集・再生成が可能です。
3. AI×Mermaidで実現する「ビフォーアフター」コンサルティング
ここからが本題です。私が今いちばん面白いと思っているのは、「業務コンサルティングのビフォーアフター」をMermaidで可視化する手法です。AIを使うと、提案ストーリーが一気にわかりやすくなります。
3-1. 現状プロセスをAIに取り込み、改善ポイント抽出
まずは企業の現状業務プロセスを、ヒアリングやヒストリーデータをもとにテキスト化し、AIに学習させます。たとえば、
受注から請求まで
製造ラインでの組立フロー
社内承認ワークフロー
…などを大まかに文章で整理し、AIに「このプロセスからボトルネックや重複工程を洗い出して」と指示します。
するとAIが問題点をまとめてくれたり、「このステップとこのステップを統合すると効率化できるのでは?」と示唆してくれたりするのです。
3-2. ビフォーアフターのフローチャートを自動生成
次に、その提案内容をもとに「現状(ビフォー)」と「改善後(アフター)」の2種類のフローチャートをAIに作らせます。
ビフォー: 現状のフロー(無駄や分岐過多が残った状態)
アフター: 提案による改善フロー(ステップ数削減や判断ポイントの明確化)
両方をMermaid形式でパッと可視化し、文章の解説と併せて提示すれば、経営層や現場担当者が一目で違いを把握できます。
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このように並べて見せると、ビフォーの無駄な工程や往復フローが、アフターではいかに簡略化されているかが一目瞭然。提案の効果を図+文章で説得力高く示せます。
4. 業務領域ごとの活用イメージ
ソフトウェア開発
要件定義・仕様検討→開発→テスト→リリースまでの流れをAIがフローチャート化
Microservices間のやり取りやシーケンス図をAI生成
製造業(工場の生産ライン)
工程ごとの作業順序と判断ポイントを可視化し、ムダな待ち時間を抽出
部門間の連携不足をAIが指摘→改善後のアフター図を提案
バックオフィス(人事・経理など)
新入社員受け入れフローや出張精算手順などのビフォーアフターを可視化
AIが「この承認フローは二重チェックの必要あるの?」など疑問を提示→改訂→Mermaid自動生成
5. AI活用で広がるコンサルティングの未来
従来の業務コンサルは、「現状のヒアリング→問題点の洗い出し→改善策の検討→提案書作成」という流れの中で、可視化(フローチャート化)が意外と手間でした。たとえばVisioやPowerPointで一つひとつ図を描いて、直しが入るたびにレイアウトを調整して…という作業が負担だったのです。
しかし、AI+Mermaid の組み合わせを使えば、
現状フローを文章化してAIに理解させる
改善案をAIと一緒にブラッシュアップ
それらを瞬時にフローチャート化
ビフォーアフターの比較資料を整える
という工程を、あっという間に実現できます。
今後はコンサルタントの方が「手描きフローを頑張る」のではなく、**「AIに素早く図を作らせ、改善内容を的確に検討する」**ことに時間を割けるようになるはず。提案の質もスピードも格段に向上するでしょう。
まとめ
Mermaid記法はテキストベースでフローチャートなどを描くツール
学習コストやドラッグ&ドロップ不可などのデメリットがある
AIが加わると、それらのデメリットがほとんど解消される
ビフォーアフターの業務フローをAIに描かせれば、コンサル提案のインパクトが大きくアップ
これからの時代、「AIを活用した業務可視化」のスキルは多くのビジネスパーソンにとって欠かせない武器になると思います。
もしあなたの会社やクライアントで複雑な業務フローに悩まされているなら、一度 AI+Mermaid の組み合わせを試してみてください。プロセスの可視化から改善案の提案まで、一気通貫で加速するはずです。
今後の展望
今後は、より高度な分析機能やビジュアル調整を備えた「Mermaid拡張AI」なども登場するでしょう。自動レイアウト最適化や分岐パターンのシミュレーションといった機能を組み合わせることで、ビジネスプロセスをさらに深く、自動的に最適化していける可能性があります。
ぜひ、あなたもAI時代のフローチャート提案を取り入れてみてください。業務改革のスピードと成果が大きく変わるかもしれません。