FFX RTAにおけるヨウジンボウの斬魔刀調整
前説
ヨウジンボウという召喚獣は他の召喚獣たちとは異なり、ギルを支払うことでダイゴロウ、小柄、脇差(単体)、脇差(全体)、斬魔刀のいずれかの行動を実施する。
海外勢によりヨウジンボウの行動の計算式というのは解析されており、本項ではその内容を抜粋して記載する。一部情報については触れないため、詳細が気になる方は以下のリンクを一読することを勧める。
参考記事:Grayfox氏の記事
ギルによるモチベの計算式
ヨウジンボウは支払われたギルに対して以下の計算式によって、ギルに対するモチベが決定される。
//ギルによるモチベの計算式
ギルによるモチベ = FLOOR( LOG2( 支払ったギル数 / 4) ) * 4
計算式を出さずに上記の意味を言うなら、2のN乗のNに-2をした値を4倍した値がギルによるモチベとして計算される。(0以下は0として計算)
つまりヨウジンボウに支払うギルが8ギル、16ギル、32ギル…と2倍されていくごとに、4、8、12…とギルによるモチベが計算される。
※早見表は参考記事中「Gil motivation sheet」を確認すること
ベースモチベの計算式
次にヨウジンボウが行動するためのベースとなるモチベの計算式が下記になる。
//ベースモチベの計算式
ベースモチベ = ( 相性値 // 10 ) + ギルによるモチベ
先ほど求めたギルによるモチベに、隠しパラメータである相性値(Compatibility)の十の桁以上の値を足したものがベースモチベとして計算される。
行動値の計算式
最終的な行動値の計算には下記の補正と乱数が入る。
※今回ヨウジンボウの乱数調整が必要になるのはヘレティック召喚獣やデア・リヒターを討伐する目的のため、契約時に選択する選択肢のうち「真に強い敵を倒すため」を選択した場合のみを記載する。
//ヨウジンボウの行動値
ヨウジンボウの行動値 = ( ベースモチベ * 斬魔刀Lv補正 ) + 乱数モチベ
※もしオーバードライブゲージがMAXなら行動値に+20の補正が入る。
//「真に強い敵を倒すため」の斬魔刀Lvに対する補正
斬魔刀Lv 1 = 4 / 5
斬魔刀Lv 2 ~ 6 = 2 / 5
※参考記事だと0~5なので、攻略本準拠の1~6で表記。
//乱数モチベの計算式
乱数モチベ = 乱数値 AND 63
※最大63までの乱数値を算出する。
ヨウジンボウの標的となっている敵の内部パラメータである斬魔刀Lvによって、ベースモチベは0.8または0.4で掛け算され、それに最大63の乱数によるモチベが足された値が「行動値」となる。
行動値による行動の分岐
次に決定された行動値による行動の内訳が下記である。
//行動値による行動決定(斬魔刀Lv1)
行動値 < 32 :ダイゴロウ
行動値 < 48 :小柄
行動値 < 63 :脇差(単体)
行動値 < 80 :脇差(全体)
行動値 ≧ 80 :斬魔刀
//行動値による行動決定(斬魔刀Lv2~6)
行動値 ≧ 80 :斬魔刀
行動値 < 80 :相手の斬魔刀Lvを1として行動値再計算
行動値再計算の後
行動値 < 32 :ダイゴロウ
行動値 < 48 :小柄
行動値 < 63 :脇差(単体)
行動値 ≧ 63 :脇差(全体)
先ほど算出したベースモチベ56(相性値初期値(128)で8192ギルを支払った場合の行動)を元に、乱数モチベが40だった3パターン計算をする。
以上3パターンで流れを理解していただけると幸い。
ちなみにお気づきの方もいるかもしれないが、乱数モチベが40であれば、パターン1、3で斬魔刀を出すための最低ギルは4096ギルである。
自動行動の分岐
先に通常の行動値の計算を書いたが、皆様お気づきの通りヨウジンボウは自動行動してくれる場合がある。
実は上記の計算式が実行される前に下記の計算がされている。
//自律行動乱数の計算式
自律行動乱数 = 乱数値 AND 255
※最大255までの乱数値を算出する。
//自律行動モチベの計算式
自律行動モチベ = 相性値 // 4
※相性値を4で割り、小数点以下切り捨ての値を算出。
//自律行動の計算式
自律行動モチベ > 自律行動乱数 :左記の場合は自立行動時の行動を計算
//自律行動時の行動値の計算式
自律行動時の行動値 = 自立行動モチベ + 乱数モチベ
//自立行動時の行動値による行動決定
行動値 ≦ 31 :ダイゴロウ
行動値 ≦ 47 :小柄
行動値 ≦ 62 :脇差(単体)
行動値 ≦ 79 :脇差(全体)
相手の斬魔刀Lv2以上かつ行動値 ≧ 80 :脇差(全体)
相手の斬魔刀Lv1かつ行動値 ≧ 80 :斬魔刀
自動行動については詳しく解説はしないが、覚えてほしいのは「自動行動では斬魔刀Lvが高い相手には斬魔刀が使用されない」ということである。
ここまで行動値の計算方法を記載したが、乱数がかかわる部分が少ないことにお気づきだろうか?
RTAにおける乱数モチベの調整
FFXのRTA走者の一部はツールを用いて、シード値を調整し、そのシード値での乱数の動き方を調整し自分の都合の良いように調整する。
シードについてのお話は下記記事参照。
本記事を執筆者はツールでHDRemasterで生成される256種類のシード値をすべて調べ、斬魔刀を出しやすいシードというのを調べた。
その結果、Any%で自己ベスト更新することになるシード値『3143520010』を発見した。
閑話休題。
Q.シード値によって何が変わるのか?
A.そのシードにおける乱数の配列が変わる。
そして走者がやっているのは乱数モチベの消費量の調節である。
下記の表を見てもらいたい。
trackerツールでは
ヨウジンボウの行動 それをする敵対モンスター
の構文で、現在の相性値を基にその行動が発生する最低金額を表示してくれる。以下は実際の画面の切り抜きである。
これを走者の都合がいいように調査したものがこちら。
一個一個解説するには相性値の詳細な話などが必要になるためここでは割愛する。
戻すという行動をいれたり、法外な金額を吹っ掛けられるタイミングを斬魔刀Lv1の敵で乱数を消費したりすることで、斬魔刀Lv5以上であるヘレティック召喚獣やデア・リヒターに対して、安く!早く!少ない(オーバードライブの使用)!調整で斬魔刀を振るってもらうのが、斬魔刀調整である。
なお上記画像だと可読性が低いので最終的にはこういった形にしている。
以上がFFXの斬魔刀調整である。
今回Long Speedrun Summit 2024というイベントに、デア・リヒター討伐(Penance)カテゴリで出走させていただくことになったので、事前解説として本記事を執筆した。
以下はLong Speedrun Summit 2024の日程である。
質問があれば、お気軽にどうぞ。