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久保亨『社会主義への挑戦』2011

 正式タイトルはシリーズ中国近現代史④『社会主義への挑戦1945-1971』岩波書店2011年である。読み直して複雑な過程を見事にまとめていると感じた。中国でなく周辺諸国の状況を織り込んで書いていること。
 また映画の話が随所にあり、使われている写真もなかなか珍しいものが多いのも、本書の魅力。ところどころハッとさせられる記述もあるがあるが以下はそのメモ(写真は高島屋タイムズスクエア 2019年11月30日)。

戦後の財政経済政策の相次ぎ失敗が、国民政府に対する信任を損ない、政府の孤立化を招いた。p.18   国民党の強硬策も、結果として支持基盤を弱め国民党弱体化につながった。p.21

朝鮮戦争で米軍との軍備の格差を意識したことが、重工業偏重につながったこと。p.58以下

朝鮮戦争後の米国との対立が(輸出規制など経済封鎖を招き)、経済的困難と国内の政治的締め付けに結びついた。p.62以下

台湾に移った国民党政権は、戸籍と土地台帳が整備されていたので、大陸では実施できなかった土地改革を台湾では、小作農が地主から安く買い取る形で実施できたこと。pp.98-99  他方で米国の対日政策の変化によって、国民党政権は戦後賠償を日本から得られなかった。p.35, p.99-100

  1958年の金門島砲撃が平和共存路線に向かうソ連への警告でありp.92-93、大躍進に向けての緊張を高める政策でもあった。p.108

 ソ連がすでに国内に敵対的な階級は存在していない、としたときに階級闘争を進めた中国は、階級闘争を否定するソ連の考え方を修正主義として、内外で批判せざるを得なかった。p.140,147

#修正主義 #階級闘争 #土地改革 #国民党 #金門島 #朝鮮戦争

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