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インターメディアテク(IMT)

 インターメディアテク(IMT)は東京駅丸の内南口、JPタワーの2-3階に展開される東京大学総合研究博物館が運営するミュージアム(博物館)だ。本体の東京大学総合研究博物館が開館日が限られていたりするのに比べると、月曜以外は開館しているなど、訪問しやすくなっている。

展示室内風景
ゴンドウクジラ 骨格標本
馬の骨格標本


  今回訪ねるきっかけは、牧野富太郎についての展示や「東京エフェメラ」の展示がHP上に告知されていたからである。エフェメラというのはポスターやパンフ、商業デザインなど一時的出版物のこと。
 実はこのような、一時的出版物に重要な情報があるという指摘は、時々なされてきた。私が初めてその話を聞いたのは、勤務先で下水道問題を担当することになり、1970年代終わりに東京大学の公開講座に通って、宇井純の話を聞いたときだ。その時、宇井は、そのような一時的出版物にこそ重要な情報があることを熱く語っていた。
 さて今回の展示の中身であるが、牧野に関しては、正直に言うと、コーナー程度の展示でいささか拍子抜けだったが、多分だが、専門家には意味のある展示なのだろう。「東京エフェメラ」はもう少し量があるとよかったが、啓発されるという意味では、これもこの程度だろうか。

第12図(上部)
第13図(上部)
東京エフェメラ 展示会場

 それで改めて、博物館とは何かと言うことを考えた。例えば各種の骨の標本の展示があった。医学にせよ、動物学にせよ、骨格標本はいろいろな情報を与えてくれる。そして牧野のような植物学において植物の標本があり、あるいは鉱山開発などでは鉱石標本が基本になる。或る物を確認するときに、その実際の物で性質、大きさ、形状を確認する。その標本を集めたところということであろうか。また動物園、水族館や植物園はその生態を観察できる貴重な場所になる(動物園や水族館については、知能の高い生物をも見世物にする残酷な施設であり、倫理的に廃止すべきだという考え方もある。アニマルライツ。この考え方は、医療のために動物を試験素材につかっていることの是非や、さらに人間が動物を食べていることをどこまで認めるのかという問題にも波及する。ただ実際の自然環境のもとで生物は厳しい生存競争にさらされていることも事実であり、アニマルライツの主張はその点で極端であるようにも思える。)。その意味で、図書館とともに博物館(あるいは標本室)の存在意義は大きいといえるだろう。各種の標本をみながら、とくに自然科学では、このような標本の意義が大きいと考えた。
 このほか、講義室を再現した部屋なども興味深かった。講義ノートが、欧文で筆記されていることも予想通りだった。
 ただ折角、東京駅前の一等地を確保したのだから、全学の協力を仰いで市民向けの講座などをここで開催すればよいようなものだが、集客でそのような必死さが全くなく省力化の気配を色濃く感じるところは、いかにも東大のやりかたなのかもしれない。
 アクセス 東京駅丸の内南口下車すぐ。JPタワー2-3階。月曜休館。

小講義室(再現)


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福光 寛  中国経済思想摘記
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