劉少奇「少数民族問題」(八大政治報告)1956年9月14日
中国共産党第八回全国代表大会での政治報告(在中國共產黨第八次全國代表大會上的政治報告)(1956年9月15日)《劉少奇選集下卷》人民出版社1985年pp.202-276, esp.250-253
p.250 少数民族問題を正確に処理することは、我々の国家工作の中の重大な任務の一項目である。我々は各少数民族の経済と文化における進歩を支援するさらに大きな努力をせねばならず、各少数民族をしてわが国社会主義建設事業で積極作用を十分に発揮させねばならない。
少数民族の状況は過去数年の間にすでに大きな変化が生じている。少数民族の中の民主改革と社会主義改造は、すでに大多数の地区で決定的勝利を収めた。国内3500万あまりの少数民族人口中、すでに2800万の人口地区で基本的に社会主義改造が完成した。ほかに220万の人口地区でまさに社会主義改造が進行中である。ただ300万あまりの人口地区でなお民主改革が進行していない。今後、なお民主改革と社会主義改造の進行を待つ地域においては、我々はなお一貫して慎重な方針をとらねばならない。
p.251 すなわち、すべての改革は必ず各少数民族人民と公衆領袖の落ち着いた検討(縱容考慮 縱容は制約せずに発展するに任せる意味。)を経ねばならず、協議による処理でなければならず、各民族自身の意思に沿って行うのでなければならない。改革中は和平方式が堅持されるべきであり、強力闘争方式が採用されるべきではない。少数民族の上層の人たちに対しては、彼らは労働人民に対する搾取と圧迫を放棄したあとは、国家は適切な方法を採用して、彼らの政治待遇と生活水準が低下しないようにし、人民大衆に彼らとの長期合作を説得する必要がある。少数民族地区の宗教信仰問題に対しては、我々は必ず宗教信仰自由の政策を長期堅持して執行するべきであり、決して社会改革において干渉があってはならない。宗教職業者の生活困難に対しては、彼らが適切な解決が得られるように支援するべきである。
各少数民族は現代民族に発展するべきである。社会改革を進めることのほか、根本的なカギは彼らの地区において現代工業を発展させることである。国家の第一次五か年計画期間において、すでにいくつかの少数民族地区において、いくつかの新たな工業基地が建設された、いくつかの大型現代工業と運輸業が営まれたのである。第二次五か年計画において、なお同様に続けられる。これは全国各民族人民の共同利益であり根本利益である。漢族人民と少数民族人民はすべて国家のこの計画を完全に実現するべきであり、共同して奮闘するべきである。同時に、少数民族の特殊需要を満足させるために、中央各部門と各省、自治区政府は、さらに客観的な可能性と経済上の合理的な原則に基づき、少数民族地区において、いくつかの地方工業を段階的に営むべきである。そもそも少数民族地区の工業において、中央国営工業あるいは地方工業についてはもちろんだが、すべてかならず少数民族が自身の労働者階級を形成し、自身の科学技術幹部と企業管理幹部を養成することが注意して支援されるべきである。ただこうしてのみ、少数民族の各方面の発展は現代の水準に比較早く到達できるのである。
歴史形成の現実条件から、少数民族中の社会改革と経済文化建設は、すべて漢族人民の全面支援(大力援助)を必要とする。それゆえ漢族人民と少数p.252 民族(の関係)、漢族幹部と少数民族幹部の関係を継続改善(改進)することはまさに特別に重要な意義がある。目下、この種の関係を改善するため、主要な問題は大漢族主義を克服する必要があるということである。
数年来、我々のとてもたくさんの漢族幹部が少数民族地区工作にあたった。彼ら大多数は党の民族政策を正確に執行し、党が彼らに与えた任務を完成し、少数民族から歓迎された。しかし少数の漢族幹部のなかに、少数民族幹部の職権と意見を尊重しないもの、少数民族が自身のことをする(當家作主)ことの支援に不熱心で忍耐のないものがおり、そこで自ら一人で独断で行った。こうした欠点と誤りとこうした同志の思想中に存在する少数民族を軽視する大漢族主義の傾向には関係がある。
中国各民族は共同して我が国の歴史と文化を創造した。今後、各民族はかならず共同して我が国の偉大な社会主義祖国を建設することになる。国内各少数民族の発展水準は同一でなく、しかしあらゆる少数民族があらゆる方面ですべて劣っているということは絶対ない。一部の民族の発展水準は漢族と同じかあまり変わらない、さらにある民族のある方面での発展は漢族より高い、漢族人民が彼らから学ぶに値するほどである。民族ごとに自身の長所がある。少数民族に何も長所がないと考えること、これは漢族の観点ではない、これは一種大漢族主義の観点である。
各少数民族を差別することはわが国社会主義建設において重要な作用があり、大漢族主義の一種の表現である。各少数民族の人口は全国総人口に占める比率は百分の六に過ぎないが、彼らの居住地区は全国総面積の百分の六十前後を占め、その中の多くの地方には各種の工業資源が豊富である。もし少数民族の共同努力と積極参加が不要であると考え、漢族人民の努力だけに依拠して、わが国が偉大な社会主義国家を建設できると考えるのであれば、これは明らかに誤った考えである。
p.253 上に述べたあらゆる大漢族主義の傾向と観点は、すべて必ず真剣に(切實)改めねばならない。大漢族主義のいかなる些細な表現もすべて克服することによってのみ、少数民族内の地方民族主義の気分(情緒)も円滑に克服でき、国内各兄弟民族は我々人民民主の大家庭の中で緊密に団結できるのである。