斉藤美彦 ホモ・クアンティフィカンスと貨幣:「価値形態論」から「負債論」へ 2024/10/05報告のご案内
公益財団法人政治経済研究所の研究会のご案内
日時 2024年10月5日(土)午後2時―4時(質疑の関係で延長あり)
講師 斉藤美彦 大阪経済大学経済学部教授
論題 ホモ・クアンティフィカンスと貨幣:「価値形態論」から「負債論」へ
種別 現代経済研究室・金融問題研究室共催研究会 公開
参加方法 研究所HPあるいはPEATIXより申込 無料です
申し込まれた方に開催日前日夜、ZOOM情報などを配信します
【概要】 グレーバーは、『負債論』において「物事を割合として比較するのは、人間の思考とおなじくらい古い」とし、それは貨幣の出現にかかわるという。この人間の側面を「ホモ・クアンティフィカンス」と名付けるならば、これこそが貨幣を生み出した原動力ではないか。従来の定説は「貨幣は物々交換の不便から発生した」というものであるが、イネスはスミスの『国富論』(第4章)の議論を完全に否定し、物々交換社会など人類史において存在しなかったとしている。この見解はグレーバー等の人類学者も認めているが、この観点からイネスは「貨幣とは信用であり、信用以外のなにものでもない」とする。商品交換から貨幣の発生が説けないとするならば、貨幣とは信用関係から発生したものということとなる。この信用先行説は、銀行の機能・歴史等において支払決済業重視にもつながることとなる。すなわち支払決済システムが存在して初めて貸出業務が行われえたのではないかというものである。こうしてホモ・クアンティフィカンス視点は、貨幣論・信用論の革新へと結びつくのではとの議論を展開したい。
参考図書:斉藤美彦『ホモ・クアンティフィカンスと貨幣:「価値形態論」から「負債論」へ』(丸善プラネット)2024年8月
【講師紹介】斉藤美彦(さいとうよしひこ)大阪経済大学経済学部教授
1955年北海道北見市生まれ。東京大学経済学部卒業
全国銀行協会連合会(現・全国銀行協会)・日本証券経済研究所等を経て2015年より現職。
最近著:『ホモ・クアンティフィカンスと貨幣:「価値形態論」から「負債論」へ』(丸善プラネット)2024年8月
2020年4月にYouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/channel/UCmb-W4OozOLDxUqtmn9ypuQ/videos)を開設。