イス取りゲームではなく「イスを増やす人」を応援すればいい?
今日は妻が美容院に出かけている間の待ち時間,COCO'Sで2ちゃんねる創業者のひろゆき氏の『働き方完全無双』(大和書房)を読みました。
※写真のドラえもん人形は,そのCOCO'Sに置いてあったものです。
さて,同書は既成概念にとらわれない働き方についてひろゆき氏の持論が展開された本です。
数か月積読になっていたのを,ようやく引っ張り出してきて読みました。
感想は人により様々かと思いますが,私が特に興味深かったのは,著者の働き方の根底にある発想でした。
最も印象深かったのは,「イス取りゲームではなく「イスを増やす人」を応援すればいい」(p.170)というところ。
著者によれば,「「働かないでダラダラ暮らしていきます」と言い出す人の割合がだんだん増えていき,そうは思わない人は働き続ければいい」(p.36)。国民全員が無理をして耐えがたきを耐えて汗水流して働く必要はないというのです。つまり,「全員が同じように頑張るのではなく,一部の頑張りたい人が勝手にどんどん頑張っている状態が最も理想的」(p.38)ということです。
とはいえ,それだけでは頑張っている人がいたたまれない。そこで,「稼げない人が働かないことを選択することで,「頑張っている人を褒める」という役割を果たせばいい」(p.39)。
さらに,頑張っても頑張らなくても生きて行けるように,政府が全国民に月額7万円のベーシック・インカムを支給すればよい(厳密には違います,pp.236-237)とのことでした。
ひろゆき氏によると,日本は新しいビジネスやチャンスを作ろうとしている人を叩く風潮がある。彼によれば,「先日,ラスベガスで無人バスが運行されたのですが,……その無人バスは,試作段階ということもあって,事故を起こしてしまったのですが,アメリカ国内では,「まぁ,最初はそんなもんだよね」という論調でした。一方で日本では,「やはり無人バスはよくない」という意見が多かった」(pp.195-196)。いわゆる,「出る杭は打たれる」ってやつに近いのでしょうか。私も,似たような構図は確かに日常の中でよく見かける気がします。
確かに,全員が全員「労働」という同じ行為に人生の時間を費やさなければならないということはない。いや,私はヒマが精神衛生上悪影響を及ぼしそうな性格なので,薄給なりに頑張るつもりですが…。でも,皆が同じ生き方をする必要はないのかもしれません。
これからの国家運営において,最も大事なのは,皆が同じになることではなく,皆が自由に生きられること,そしてその多様性をお互い尊重しあうことなのかもしれないな,と考えさせられました。
昨今のAIをめぐる議論では,人間の仕事がAIに奪われるのではないかという悲観論に対して,AIを活用すれば我々の暮らしはより豊かになるという楽観論も出てきつつある印象があります。
が,技術だけで国民の暮らしを変えることには限界があって,その前提としてより重要なのは,この国が目指すべき価値観を提示したうえで,それに沿った経済政策と教育政策をとることなのかもしれないなと思った次第です。