
”ウェルビーイング”な生き方の地図 #7【映画って知的好奇心の塊】80年代ヒーローとアメリカという国家
皆さんにとって、初めての憧れのヒーローって、誰でしてか?
イーサン・ホークのトムクルーズ
アイアンマンのロバートダウニーJR
バットマンのクリスチャンベール
ジェームスボンドのダニエルクレイグ
ヒトそれぞれの思い出があると思います。
僕は、映画の世界で出会った、最初のヒーロー。

シルベスタ・スタローン。
我らがロッキーです。
僕のロッキー映画の初鑑賞は、1982年【ロッキー3】。
ロッキー1、2を未鑑賞で、観に行きました。
話の冒頭、前の顛末が語られるので、何と無く分かる。
ロッキー3は、富と名声を得たチャンピオンが、もう一度、本来の自分を取り戻す物語。
僕は、この映画で何に魅力されたのか。
スタローン本人とリンクした物語
胸熱なトレーニングシーン
劇的で迫力のある試合
映画と一体となったテーマソング
ロッキーの一作目は、スタローン自身のサクセスストーリーとして有名です。
売れない俳優だったスターローンが、テレビで観たボクシングの試合にインスパイアされ、自分で脚本を書き、映画プロデューサーに売り込む。
高く評価され、映画化権を交渉された際に、条件が自分が主演にする事を条件で出す。
そして、作品は大ヒット。
なんと、アカデミー賞を作品賞、監督賞、主演男優、女優賞、脚本賞を総なめ。
スタローン、アカデミー賞取った脚本家である事って、忘れられてます。
余談ですが、昔のアカデミー賞は、権威主義が今より少なくて、好感持てます。普通に商業的ヒット作がキチンと評価されている。エンタメ性を否定しない。そうあって欲しいなぁ。
そんな、大ヒットを記録して、2が製作。チャンピオンになり、エイドリアンと結婚。
そして3。
僕が驚いたのが監督をスタローンがやっていること。この時初めて、俳優って監督もやるヒトいるんだと、知りました。
物語も含めて、スタローンとロッキーが、同一のキャラクターのように見える。
僕が何よりこの映画とスタローンに魅了されたのが、トレーニングシーン。

彼に負けたロッキーが、再戦を期してトレーニングする。しかし、負けることが怖い。
盟友アポロと共にトレーニングするが、途中で走ることをやめてしまう。
僕は、その後エイドリアンとの対話でロッキーが自分の恐怖を語り、妻に諭され、そして立ち上がり、自身を鍛え抜くシークエンスに、当時めちゃくちゃ胸熱になったのを覚えています。
あまりに有名なビル・コンティのロッキーのテーマ。この音楽とトレーニングシーンが、この胸熱シークエンスを徹底的に盛り上げます。
ロッキーがアポロのようなボクシングスタイルを習得するのも良い。
そして、壮絶な試合
アポロのトランクスで出るのも、胸熱。
そして、この映画で絶対に欠かせない要素。
"アイオブザタイガー" サバイバーの主題歌。
この曲が、エンドロールでかかる。
この曲があってこそのロッキー3。
それくらいインパクトがありました。
曲が、この映画のテイストを決定的にしている。
次作、1986年 ロッキー4で決定的になる、映画と洋楽の関係性。80年代の洋楽は、やはりコレです。
米国では"MTV"という音楽を映像で楽しむコンテンツが生まれ、ムーブメントになります。
その流れを日本で紹介した番組"ベストヒットUSA" 。小林克也さんが、ビルボードのトップランクのミュージックビデオを紹介する。
ロッキー4は、このMTVの影響をとても強く受けて、映画全体がミュージックビデオのようなテイストになります。
この演出、賛否あるのですが、僕は好きだった。
80年代の雰囲気をとても表しています。
ロッキーシリーズは、3で終わりと当時のパンフレットに書いてありました。しかし、商業的な価値で、4が製作される。ストーリーも、米国とソ連の冷静構造を持ち込む、愛国主義的な内容。
コレもとても、80年代的です。
今、振り返ると、新自由主義のレーガン政権。一気にグローバル資本主義が立ち上がります。
1985年にゴルバチョフが書記長になり、ペレストロイカが行われ、ベルリンの壁が壊されるのが、1989年。
4で、観戦している党の高官は、なんとなくゴルバチョフっぽい。
冷戦とアメリカ新自由主義の資本主義。
今振り返ると、とても象徴的なロッキー4。
この時代でしか出来ない映画です。
もうひとつ、僕が当時スタローンに魅了された作品

1982年 【ランボー】
僕の中で、この後のスタローンを決定づけた作品。
映画史でも稀有なキャラクターの登場です。
ロッキーとはまた違った意味で、衝撃的でした。
僕はこの作品で初めて、"ベトナム戦争"に疲れたアメリカ、を知りました。



この後、本気な"ベトナム戦争映画"と出会い、如何に理不尽さに満ちた戦争であったかを知ります。
そのキッカケが、ランボーでした。
その後の2.3と異なり、一作目はベトナム帰還兵への、米国社会の冷淡さを描いています。
米国の田舎街の日常。ベトナム帰りという異分子、ランボーが来訪するが、街を守る保安官に排除される。その排除に復讐するランボー。
僕は、それまでテレビで観てきた戦争映画は、ある種の"明るさ"がありました。
ヒーロー譚。
ランボーは、暗いし、怖い。"グリーンベレー"米国陸軍の特殊部隊。この存在を知ったのも、この作品がキッカケです。
ランボーは、日本のサブカルチャーにも大きな影響を与えます。
【装甲騎兵ボトムズ】 ガンダムを製作したサンライズのカルト的人気を誇る作品です。
主人公のキリコ・キュービー。
レッドショルダーという特殊部隊出身で、戦いに疲れた無口なキャラクター。
まんま、ランボーです。
ランボーは、このあと、1985年 【ランボー2怒りの脱出】で、アクション大作に変貌します。
この作品では、ランボーの強さがインフレします。あの弓矢による戦いは、単純にカッコ良い。
この次の1989年 【ランボー3怒りのアフガン】
アフガニスタンでのムジャヒディンと共闘して、ソ連と対峙します。
当時は分からなかったのですが、CIAは中東での影響力を増すために、ソ連とジハードを行うイスラムのムジャヒディンに武器を供給し、ソ連に対抗する戦力として支援します。
コレが後に、9.11を起こすアルカイダに繋がります。
僕は、スタローンというヒーローを通じて、当時の米国の文化だけでなく、"国家"としての側面考えるキッカケを与えてくれました。
米国ハリウッド映画は、今も国家のプロパガンダ的な要素や、国のイデオロギーを端的に表現していると言われます。
映画というコンテンツを、多面的に捉える。
自分のメタ認知に繋がる。
だから、映画という表現は、面白いと思います。
今回も、お付き合い頂きありがとうございます。
またのお越しをお待ちしております。