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9. 目標管理制度の歴史③ ドラッカーのマネジメント 2

ドラッガーのマネジメントは一言で言うと、「人と人が成果を上げるために工夫すること」だと#8の記事で述べました。

そのようにドラッカーが考えたのは歴史的な背景が影響しています。当時のドラッカーがどのように考えたのか見てみましょう

今回もNHK 100分で名著 ドラッカー マネジメントからまとめております



パワポ1枚サマリー

筆者作成

今回の記事では、資料の左下の、ドラッガーの代表作、2冊を読み解きます


経済至上主義は人を幸せにしない

当時のヨーロッパはヒトラーが台頭していた頃です。ヒトラーの全体主義のもとでは書くことも教えることもできないと確信し、ドラッカーは24才でロンドンに渡りました。(イギリスは、大陸から離れており、ヒトラーの影響を受けにくいだろうということで)

行動力がすごいですね。

そこでドラッカーはマクロ経済学者のケインズ(1883-1946)と出会いました。ドラッカーは、ケインズの授業を聴講したのですが・・・

ケインズもまわりの学生も、みんな考えていることは金とモノの動きのことだ。自分も証券会社でいかにして金を増やすかを考えている。しかし自分にとって関心のあるものは金ではなく、人間や社会ではなかったか・・・・

NHK 100分で名著 ドラッカー マネジメント p18

ドラッカーは、自分の関心はお金ではなく人間や社会だと再認識し、28才でアメリカへ移住しました


ドラッカーがこんなにお金に関心がない人というか、どっちかといえば金銭的価値ではない幸福を目指している方なんだと、初めて知りました。意外でした


企業の利益向上をめざしたマネジメント、超天才的で、実務家目線の経営学者といった漠然としたイメージをドラッカーにもっていたものですから。


ドラッカーは彼の1作目の著書である『経済人の終わり』で、このように書いています

  • 資本主義も社会主義も、結局は経済至上主義である

  • 経済至上主義は、問題を解決できない

  • 当時のヨーロッパは資本主義、社会主義どちらにも失望し、脱経済至上主義へ向かった

  • 脱経済主義として、国家社会主義という名の全体主義が強くなった

  • しかし、脱経済主義が行き着いた先の全体主義も人間を幸せにしない

  • 何か別の答えがあるはずだ

  • 何か別の答えを見つけなければならない


このように、「何が人間を幸せにするのだろうか?」という問題提起で『経済人の終わり』を終えました(NHK 100分で名著 ドラッカー マネジメント)。



脱経済至上主義としてのマネジメント

ドラッカーは1作目『経済人の終わり』の終わりで提起した問題の答えとして、2作目の『産業人の未来』を書きました。

端的にいうと

  • 全ての財やサービスが組織で生み出される

  • 全ての人が組織で働いている

  • 組織がよくなれば、社会もよくなるはず

  • 人が一緒に働きながら幸せになるため組織運営とは?

  • 組織に成果を生むマネジメントこそ全体主義に変わる唯一の存在


つまり、前書の『経済人の終わり』の最後の問題

Q:何が人間を幸せにするのだろうか?
A:マネジメント


というのがドラッカーの答えです


超シンプル


利益を生み出すための組織運営のマネジメントではないのです


人を幸せにするのがマネジメントだ


ドラッカーはこう言ってます


組織は人で成り立っています。人と人が一緒に働きながら、みんなが幸せになるのは、どのような組織運営を行えばよいのだろうか。


組織に成果をあげさせられるマネジメントこそ、全体主義に変わる唯一の存在であるとドラッカーは述べています。


このように歴史的な背景をたどっていくと、ドラッカーの提唱したマネジメントは決して単なる利益をあげるためのツールという位置付けではないのです


ドラッカーが人間中心と言われる理由ががよくわかります。


#7で書いたテイラーは、こういった人間そのものや、人間の幸せという側面にふれずに、あくまでも人間を部品のように機械的な存在として想定し、効率を追求しました。


もしかしたら、テイラー式でもドラッカー式でも、効率を目指して、同じような事をするかもしれません。違うのは、その背景にある考え方・世界観です。


やることは仮に同じとしても、描いている絵は異なるかもしれません


うーん。。。MBOにはまだ到達できません。


単に「人間を幸せにするマネジメント」と言ってるだけで、マネジメントの具体的なことには、まだ全くふれていません


次の記事ではドラッカーのマネジメントについて、いよいよ具体的な側面を見ていきます。かなり具体的なのでご安心ください。


マネジメントが終わると、MBOに入ります!


今回も、最後までお読みいただきありがとうございました!


引用文献


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