18. なぜ目標を設定するのか? 目標設定理論 (Goal-setting theory) 2
前回は目標設定理論の概要について書きました。
しかし目標を設定するだけではダメです
目標を設定し、確実に成果につなげるため、他にもやったほうがいいことが2つあるので、それらについて詳しく見てみます
パフォーマンスへ影響を与える要因
目標設定時に行うこと
やりたくなる要素(自発性)と、やれると思う要素(自信)の2つに分けられます
やりたくなる(自発性)
旅行って、計画しているときが一番楽しくないですか?自分でいろいろ考えて、決断することが、アクションへつながります
いきなり、お父さんが家族に向かって、
「今日は京都に紅葉を見に行くぞ」
と言われても乗り気にはなりません。大阪がいい、お父さんが一人で行けば? いろいろ反論が出るかもしれません。
これ実話。笑
キーとなるのは、双方向のコミュニケーション
独りよがりではない
押してつけでもない
みんなが、そこいいよね、行きたいよね と思える旅行先。それを家族で話し合って決定する。
ビジネスでも同じで、目標を持つ一人ひとりが、理解して、納得して、やりたい、やってやるぞと思えるような目標、そのプロセスが大事です
これは、決して、トップダウンで会社が決めた目標を従業員が持つことを否定していません(実際に目標設定への参画はパフォーマンスへ影響ないという研究がある)
目標設定に直接参加することは絶対ではないですが、私自身は、可能ならば、一人ひとりが自分の目標を設定することが大事だと考える方です
設定された目標そのものよりも、そのプロセスを通じて納得度があがり、コミットメントがあがるような気がします
仮にトップダウンの目標であったとしても、上司はなぜこのような目標になったのか、どうやって決まったのか、一人ひとりへどういうことを期待しているのか等を双方向で話す場を持つことが大事とおもいます
プロセスが透明、公正で共有されると、トップダウンの目標であっても受け入れ、自発的に行動をとると考えられます
どうせなら、自分で決めることができるビジネス環境なら、その方がよくない?と思うのです
やれると思う(自信)
本人が自主的に行動するには、納得するだけではなく、実際に私なら・私でもできると思うことも大事です。これは、自己効力感といわれています
特に、自己効力感(この場合は目標を達成できそうだと思うこと)が低い人には、上司のサポートが大事になってきます。
では、何をすればいいのか?
簡単な例は、スキルが不足していれば、それを身につけるために研修や、チームでの指導・サポート体制などは当然必要です。
私にできるかな?と考えるような、心配が少し前面に出るタイプの方には、見本(ロールモデル)になるような方(先輩・同僚)をメンターとしてつけたり、1on1の機会をつくってあげて相談できる場をつくるとか、そんなことも上司はできそうです
あとはシンプルに、君ならできると上司が伝えること。根拠がないと弱いですが、ちゃんと説明しましょう。過去に似たような事例があったならそのときを思い出させ、成功要因を見つけるとかも役立ちます
このようにロジカルに言語的にも、また情緒的に伝えることも、自己効力感を上げるのに役立つとされています
やればできる! と思えるように、上司や周囲がサポートすることが大事になってきます
時には鬼になる
こんなこと書いてると、生ぬるくてダメだよという声も絶対にいただきます
人間は弱かったり、怠けたりすることもあるので、優しい目標を設定する方が出てくるかもしれません
その場合は、ちゃんと上司は、その会社の方針にしたがった適切な難易度になるように、ガイドすることが大事
これを鬼になれと表現するのは、全然ちがう気もしますが、優しい目標をみんなで作る事とは全然違うという意味だと考えてください
マネージャーはカメレオンだという人がいますが、いろんな顔を使い分けすることが大事です
誰もやったことがない、難しい課題であったとしても、「よっしゃ、やったるか」とチームを持っていくのがマネージャーのお仕事だと、私は思っております
そういうゴールを描いて、チームで到達することに意義があるのではないでしょうか。
最高に楽しそうな旅ではないでしょうか?
最後までお読みいただきありがとうございました
参考文献
Locke, Edwin A., and Gary P. Latham. "Building a practically useful theory of goal setting and task motivation: A 35-year odyssey." American psychologist 57.9 (2002): 705.