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旅に感じる空気

物心ついたときから狭い空間は苦手だ。 いわゆる閉所恐怖症である。 一方で、高いところは平気。閉所では特に空気の流れがないと不安になる。高いところは大抵風が吹き気持ちが良く落ち着く。ときおり思う。きっと前世は何か悪いことでもして牢屋に入れられたに違いない。それも冷たい石に囲まれた狭いジメッとした牢に。

昭和40年代旅と言えばその空気を吸えたものだった。茨城に住んでいてときどき東京に父に連れられ出てきた。当時は国鉄。特急でも窓が開いて外の空気を思いっきり肺に吸い込めた。中でもいつも楽しみにしていたのがアイスクリーム。佐倉駅でホームを歩くアイスクリーム売りのおじさんから買うことだった。長い停車ではない。発車に間に合うか。そんなスリルも手伝ってドキドキしたことを覚えている。

同じく昭和40年代母の実家のある福岡に帰るのに羽田空港から乗った飛行機はB727だった。727には特徴がある。普通の左舷から搭乗するドアとは別に後ろの中央からステップが地面に降りて機体真後ろから搭乗出来た。一度空港の建物から地上に出て727の機体後方へ向かう。子供心にも高揚感にドキドキした。空港の独特の外の空気を吸えたのも非日常を感じられた。

乗り物の中からでも外の空気を吸いたくなる。それが比較的自由に出来たのが幼少の昭和40年代だったと思う。

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