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アトピー考 その11 ーお医者さんとの関係

アトピーについて考える。1つ目は身体の緊張とアトピーの関係について、2つ目は喘息とアトピーについて、3つ目は体温について、4/5つ目は感情について、6/7つ目に脱砂糖について、8つ目に求められる即効性とタイムラグについて9つ目では身体を振り返る、体調を知る方法について、10回目は着る服について私見を書いた。

11回目の今回はお医者さんとの関係について自分の過去を振り返った。

あまり一般的とは言えない独特な経験を振り返り参考にして頂ければと思います。

昭和40年代アトピーやアトピー性皮膚炎という病名は一般的ではなかった。「湿疹」と診断された。

小学校3年生のとき東京武蔵境の病院に住んでいた茨城から通っていたことがある。喘息の治療のためであったがステロイドを大量に処方された。副作用でブクブク太って結局通院を止めた。歯も白色から黄色くなった。

小学校5年のとき高知県土佐清水の病院で治療を受けた。当時は個人病院だったがその後アトピー性皮膚炎を治療する病院として有名になった。そこで処方された外用薬は微量らしいがステロイドが含まれていた。

29歳の頃脱ステロイドを決意した。浸出液が皮膚から溢れ外見も酷いモノになった。仕事を続けるのに必死だったが上司の課長から会社付属の病院に受診することを勧められた。1994年頃のことである。脱ステロイドという言葉があったかどうか。今でもそうだがアトピーにはステロイドで治療する、というのは一般的で普通の認識だった。なので脱ステロイドをする、脱ステロイドを続けるということは通院しないこと、病院には行かないことが前提だった。しかし上司からの勧めは実質断ることが出来ない。個人的には通院は断りたかった。しかし、会社という組織に所属していればそうもいかない。上司の立場も考慮する必要があった。見た目にも異常な部下に専門的な診断なしに放置していたと見なされれば課長も辛い立場に立たされる。仕方がない。思い切って会社付属の病院に行った。

病院ではステロイドを使わないアトピーの治療もあると診察したお医者さんは言った。上司である課長も同席していた。そのお医者さんは大学病院から週1回か2回定期で外来の診察を担当されている関係で改めて大学病院に来診する様言われた。入院が必要だとも言われた。話の流れとしては仕方がない。望まない嫌な流れであったが大学病院に行った。

大学病院では受診する際そのお医者さんの診察室には白衣の若者が多数陣取っていた。インターン生だろうか医学生だろうか。そのどちらかであることは一瞬で分かった。嫌な予感がした。入院して治療する説明がそのお医者さんからあった。ステロイドを使うという。ステロイドフリーの治療はないのかと聞くと考えていないという。こちらとしては明らかに前回の診察とは違う説明だった。脱ステロイドを決意している自分としては選択肢はない。大学病院への入院はおろか通院も断った。これがそのお医者さんにとっては気に入らなかったらしい。イヤ、気に入らないというレベルではなかった。怒らせてしまった。インターン生や学生を前に医者の権威を否定されたと思われたのだろうか。今のままでは絶対治らないとほとんど捨て台詞を浴びせられ診察室をあとにした。

大学病院での診察の結果を上司の課長に報告した。幸い当時その課長は部下の意思を尊重するリベラルな上司だった。医者の指示に従わないのは部下のお前の意思だからそれはどれで構わない。しかし、会社には出てくるな。しばらく休め。医者から入院を勧告された部下を上司としては通勤させる訳にはいかない。そう言われた。一言も反論出来なかった。その通りだと思った。かくして7ヶ月の間の長期休暇を頂いた。

以降、喘息で吸引用のステロイドを除き病院で外用薬のステロイドを処方されたことはない。

昨年春頃からTwitterでアトピー用のアカウント(垢)を取って様々なアトピーに悩み苦しむ方々のつぶやきを聞いて自分の知らないアトピーの治療法が出ていることをなんとなく知った。脱ステロイドについても自分が始めた1990年代とは比べものにならない程認知されある程度普及しているのかなと思う。インターネットが普及していないこともあり患者と患者の横のつながりや情報交換をする術はなかった。

ステロイドを服用するにしても脱ステロイドをするにしてもお医者さんとの関係は良好であるに越したことはない。言うまでもないことだが。だが自分の場合は控えめに言っても良好だったとは言えない。どちらかと言えばお医者さんへの不信がある。いやいや、この言い方も控えめだろう。はっきり正直に言えば、医者は信用していない。

医療の分野ではエビデンスという名の科学的論拠を盾に脱ステロイドを批判する向きもある。しかし、ステロイド処方が一般的な治療としてあるいは唯一有効な治療法という認識が専門家にある中で、シロウトである患者が脱ステロイドにこだわれば病院に頼らず自分でするか民間療法でしのぐしか選択肢はない。そこで良くなっても治っても専門家である医者が臨床で治った実績には決してならない。専門家がコミットしなければ治療例として認知されることもない。専門誌に論文として載ることも決してない。かくして脱ステロイドの治癒例はないのである。

これに関しては医者ばかり責める訳にはいかない。何故ならアトピーにはステロイドという認識はもはや常識になっているからだ。専門家の常識を覆すのはいつの時代もシロウトである。偏見を持たず真っ白な頭で物事を見つめる姿勢がなくては真実を極めることは出来ないし望むべくもない。

願わくば柔らかい頭で目の前の患者を診察し治療するお医者さんが増えることを望む。また、アトピーの患者さんがお医者さんを信頼し確実に治癒していくことを願う。切に願う。

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