見出し画像

商船の船内生活

船はいったん港を出ると閉空間になる。人の出入りは基本的にない。船内がイコール生活空間となる。もちろん目の前、辺り見渡す限り海で広い海原を航行するのは開放感はある。開放感はあるにはあるが舷側をまたぐとそこは海なので一歩たりとも船から外へ飛び出すことは出来ない。そんな生活が3ヶ月、または6ヶ月続くのが商船の乗組員の人達だ。港に着けば場合によっては陸に上がる機会はあるかも知れない。ただこれは船種によって違う。普段の洋上のときより港に入ってからの方が業務が輻輳する、つまり仕事が忙しくなる場合もあるからだ。港でするのは荷役である。その荷役を陸側のみでやるなら船の乗組員は岸壁や桟橋から降りてきて街に出て行く機会があるだろう。例えば、コンテナ船や自動車運搬船は港にいる陸側の作業員がコンテナや車を揚げ降ろしするので乗組員の一部は非番となって仕事はオフとなり近くの街に行ける。しかし、荷役を陸側と共同作業で船側も行う場合は大抵普段より忙しくなる。作業が多くなることもそうだが時間との闘いになるからだ。一般に港などに船を横付けする時間で経費が嵩むから短時間で済ます方がコストカットになる。次の寄港地に早く着けることにもなる。なので深冷船、液化天然ガス運搬船やLPG船などのいわゆるガス船は乗組員は交代でもしない限り港に着いても陸に上がることはない。かくして陸を目の前にして船から降りることが出来ず仕事に精を出すことになる。

かつて2回ほど保証技師としてLPG船と液化天然ガス運搬船に乗船した。またそのときの船内生活を(気が向いたら)書いてみたい。

いいなと思ったら応援しよう!