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第10回: CMMIでアジャイルを強くする
初回のブログで私は、
「アジャイルを実践している方々にもCMMI®の良さを知って使っていただき、改善のヒントを得ていただきたい。」
と書きましたが、今までこれについてほとんど触れていませんでした。これから何回かに分けて書いていきたいと思います。
海外ではCMMIはアジャイル開発で役に立つことは広く知られています。しかしながら日本ではCMMIは伝統的なウォーターフォール開発用の改善モデルで、アジャイル開発とは相容れないものだと思っている方もいらっしゃるようです。まずはその誤解を払拭していただくために、今回のブログではCMMIとアジャイルについての記事や事例をご紹介します。
1. ISACAの情報
CMMIの開発元であるISACAには「CMMI and Agile」というサイトがあります。
これを読むとCMMIがどのようにアジャイル開発で役に立つのか書いてあります。以下に日本語に訳してみました。
CMMIはハイパフォーマンスの組織を構築するために、世界中でますます利用されるようになっています。
McKinsey & Coによると、真にアジャイルな組織は、プロセス、ガバナンス、組織構造といった安定したバックボーンの上に、ダイナミックな能力を構築しなければなりません。組織は、CMMIとアジャイルアプローチを組み合わせることで、真の組織のアジリティを生み出します。CMMIの採用によってもたらされる規律、組織学習、一貫性は、アジャイルアプローチをさらに強力で効果的なものにするために組織をサポートします。
この10年間で、CMMIの鑑定を受けた組織のうち、アジャイルを使用している組織の割合は80%にまで増加しました。
アジャイルにおけるCMMIの主な利点
・CMMIはコアプラクティスエリアに含まれる直接的なガイダンスを通じて、スクラムによるアジャイルプロジェクトプロセスを強化します。
・CMMIは、企業全体でアジャイルの採用を拡大することにより、アジャイルの展開を改善します。
ポイントは、CMMIが組織全体でアジャイルアプローチをさらに強力で効果的なものにするためのガイダンスと、各アジャイルチームへの直接的なガイダンスの両方を提供できる点かと思います。つまりCMMIは管理者から現場のメンバーまで、誰にとっても有益な情報を提供します。
上記のISACAのサイトには、いくつかの事例集も掲載されていますので、興味がある方はチェックしてみてください。
2. Paul E. McMahonさんの書籍
数十年にわたるプロセス改善の経験を持つPaul E. McMahonさんは、アジャイルアプローチとCMMIを組み合わせることが、ビジネス目標を達成するための最速で最も効果的な方法であることを、以下の書籍で説明しています。
以下に上記のサイトにある説明を翻訳しました。
CMMIを通じてプロセスの成熟度を向上させた組織の多くは、現在、より大きなアジリティも求めています。一方、アジャイル手法で成功している多くの組織は、より成熟したプロセスのメリットを求めています。その解決策は、CMMIとアジャイルを統合することです。当書籍は、これらのプロセス改善手法を融合させるための幅広いガイダンスを提供します。当書籍では、6つの詳細なケーススタディを、重要な実世界の教訓、大局的な洞察、避けるべき過ちとともに紹介しています。
3. Jeff Sutherlandさんの論文
アジャイル開発でもっとも使用されているフレームワークであるスクラムの生みの親の一人、Jeff Sutherlandさんが、CMMIとスクラムを組みわせることの効果を以下の論文で述べています。
Scrum and CMMI going from good to great
(スクラムとCMMIで「良い」から「素晴らしい」へ)Scrum and CMMI Level 5: The Magic Potion for Code Warriors
(スクラムとCMMIレベル5:コード戦士のための魔法の薬)
Jeff SutherlandさんがCMMIの価値を述べているのは大変心強いです。
CMMIとアジャイルに関する情報は他にもたくさんありますが、今回はこの辺にいたします。
また面白い情報を見つけたら、当ブログに追記したり、別のブログで書いたりしたいと思っています。