第2回: CMMIのご紹介
今回はCMMIについてご紹介します。
1.CMMIとは
CMMI®(Capability Maturity Model Integration:能力度成熟度モデル統合)は、日本を含め世界中で広く活用されている組織ケーパビリティ(能力)向上のためのモデルです。米国カーネギーメロン大学のソフトウェア工学研究所(SEI)により開発され、今ではISACAが引き継いで維持・拡張しています。
CMMIは長年、開発(CMMI-DEV)、サービス(CMMI-SVC)と供給者管理(CMMI-SPM)の領域をカバーしてきました。しかし近年は、セーフティ(CMMI-SAF)、セキュリティ(CMMI-SEC)の領域を含んでいます。更に、最近2023年4月にリリースされた最新バージョンのCMMI V3.0では、データ管理(CMMI-Data)、人材管理(CMMI-People)、バーチャル環境でのデリバリー(CMMI-Virtual)の領域をカバーするように拡張されました。
特にCMMI-DEVは主にソフトウェア開発の分野で有名で、最も歴史があり広く活用されています。皆様の中でも、CMMIと言えばソフトウェア開発専用のモデルと思っていた方も多いのではないでしょうか。
2.私なりのCMMIの説明
さて、端的に言うとCMMIは一体何なのでしょうか。私はいつも、お客様に次のように説明しています。
「CMMIは、世界中の成功している組織やプロジェクトが何を実施しているか(What)、なぜそれを実施しているか(その価値は何か)(Why)を分析し、体系化したものです。」
CMMIでは何を実施しているか(What)をプラクティスと呼んでいます。ユーザーはCMMIのプラクティスと、自分達の仕事のやり方(プロセス)を比較し、そのギャップを認識することで改善の機会を見つけることができます。つまりCMMIは、自分達のやり方を優れた組織のやり方と比較して、改善点を知るためのベンチマークのためのモデルです。
CMMIは幅広い分野をカバーしているため、ユーザーは広い視野を保ち、問題やリスクの特定漏れの防止や、問題に対してより深い原因追究が可能になります。また、プラクティスの意図の理解を深めるのに役立つ解説情報や、活動や成果物の例が充実しており、改善のための多くのヒントを教えてくれます。(参考書みたいなものですね。)
更にCMMIでは、組織を段階的に成熟させることができるように、5段階の成熟度を定義しています。そのためCMMIのユーザーは全てのプラクティスを一度に参照する必要はありません。課題の重要度や目指す成熟度レベルに合わせて、優先順位を付けて改善に取り組むことが可能です。
いかがでしたか。少しでのCMMIに興味を持っていただけましたか。CMMIに関するより詳細な内容は、今後のブログで数回に分けてご説明します。
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