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【毎週ショートショートnote】ドローンの課長
「誰もいないのか?」
ブーン。
一台のドローンが飛んできて目の前の机の上に停止した。
「なんだこれ」
ブーン。
ドローンが再び浮上して、頭上30センチあたりの高さをぐるぐる回り始めた。邪魔くさいので手で払おうとすると、ドローンは逃げるように二階へ消えた。
追いかけて二階に行くと大部屋があり、床がドローンで埋め尽くされていた。少し怖い。
「話せる奴はいないのか」
「私は話せる」
機体がブルーのドローンから声がした。
「用件は?」
「先月買ったドローンが動かなくなった」
「名前は?」
「山田」
「いや、ドローンの」
「そっちか!ゴローだったかな」
「ゴローか。寿命かも」
「古いのを送ったのか?」
「古い?我々は生きているんだぞ」
「何言ってるか分からん。上司を呼んでくれ」
「課長でいいか」
風呂上がりみたいな格好のオヤジがやってきた。
「ドローンが動かなくなったって?代わりに好きなの持ってって」
もはや交換だけじゃ帰れない。
課長に聞きたいことが山ほどあった。
(410文字)
※こちらの企画に参加させていただきました