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唐揚げ死なず #毎週ショートショートnote

「弁当の唐揚げ、もう飽きたよ」

帰宅するなり、高校二年生の健一郎は母親に文句を言った。

「なんでよ、唐揚げ好きでしょう?」
母親が不服そうに返す。

「好きだけど毎日入れることないじゃん。この世に揚げ物は他にもあるじゃん」

「他の揚げ物って何?冷凍でいいの?」

「冷凍でも何でもいいよ。とにかく明日からしばらく唐揚げ禁止で」

「誰かに何か言われたの?」

「別に。じゃ、お願いね」

母親は鋭かった。
健一郎のクラスでは、お昼に男女でグループを作って弁当を食べていた。

「健一郎、お前、また唐揚げだろ?」
博之が茶化してくる。

「入ってねーし。ほら」
健一郎は弁当箱の中身を見せた。唐揚げの代わりにシューマイが入っている。

「え?私、唐揚げ持ってきちゃったけどダメ?」
気のある由香の発言に焦る健一郎。

「駄目じゃないよ!唐揚げ、好きだよ、俺」

「よかった。お母さんが唐揚げ作り過ぎちゃってさ。よかったら食べて」

由香はタッパーを開けて山盛りの唐揚げを差し出した。

(410文字)


※こちらの企画に参加させていただきました

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