詩と暮らす鹿 #シロクマ文芸部
詩と暮らす鹿がいました。
鹿のそばで暮らしている鳥が詩を囀るのです。
鹿は鳥が詩を囀るのをただ聞いてるだけで、何も言いませんでした。
パン!
ある日、詩を囀る鳥は猟師に鉄砲で撃たれてしまいました。鹿は何も言いませんでしたが、少し怒ったような顔をしていました。
その日を境に、鹿は詩を詠むようになりました。
数ヶ月が経ち。
馬がやってきて鹿のそばで暮らすようになりました。
馬は鹿の詩が気に入ったのです。
鹿は詩を聞いてくれる相手ができて喜びました。
馬と鹿が仲良く暮らしているのを見た猟師がくだらないことを言いましたが、馬と鹿は意に介しませんでした。詩と暮らせない馬鹿の言うことなど聞こえなかったのです。
猟師が家に帰ろうと背を向けると、鹿の詩が好きな馬は猛然と駆け出し、猟師を後ろ足で蹴り飛ばしました。
鹿は深く嘆いていましたが、馬は満足していました。鹿のそばで、詩と暮らせればそれでよかったのです。
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