【毎週ショートショートnote】呪いの臭み
幼馴染のアキヒロが「呪い」になった。高校の体育倉庫から出てこないらしい。
昔から呪いに詳しい幼馴染のミキちゃんに相談すると、一緒に体育倉庫まで来てくれた。
「アッキー?どこ?」
「ユウちゃん!」
「大丈夫か?ミキちゃんも来てくれたぞ」
「え、ちょ、ちょっと待ってね……シュー。
ミキちゃん、久しぶり」
アキヒロが姿を現した。見た目は人間と変わらない。
「久しぶりね。早速だけどニオイ嗅いでいい?」
「別にいいけど」
ミキちゃんはアキヒロの臭いを嗅ぐと首を傾げた。
「せっけんの匂いがする。本当に呪いになったの?」
「あ、さっき制汗スプレーしちゃった」
「バカなの?呪いはね、臭ってナンボなんだよ。臭わない呪いは存在価値ゼロ。来て損したわ」
「ミキちゃん、言い過ぎ……」
アキヒロはシクシク泣き始め、身体から黒い液体をバシャっと放出した。人間に戻っている!?
「ミキちゃん、ありがとう!!」
「マジつまんない」
ミキちゃんは本当につまらなそうに帰って行った。
(410文字)
※こちらの企画に参加させていただきました
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