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命乞いする蜘蛛 #毎週ショートショートnote
「助けてください」
ん?
「お願いです!まだ死にたくないんです」
え?
声はするけど姿は見えず。
「こっちこっち。上です!上!天井!」
蜘蛛が一匹、天井に張り付いていた。
「蜘蛛がしゃべった?」
「はい、私です。助けを求めていたのは」
「なんで話せるの?」
「今そんなことどうでもいいでしょう!助けてくださいよ!」
「何すればいいの?なんともなさそうだけど」
「アイツが、俺を食おうとしたんです」
「ははぁ」
「ははぁ、じゃないですよ!助けてください」
「いや、なんかそういうの、人が手を出しちゃ駄目な気がするんだよね」
「そんな殺生な!あっ、来た」
引くほど巨大な蜘蛛が現れた。
座布団くらいあるかもしれない。
あっという間に人語を話す蜘蛛を食べてしまった。
怖い。
でも、ま、所詮、蜘蛛だよな。
この巨大蜘蛛も人語を話すのだろうか。
「ははは、食べちゃったね、旦那さん」
「ええ、まだ足りないわ」
巨大蜘蛛は俺の顔の前にスーッと降りてきて……。
「ああ、まだ足りない」
(410文字)
※こちらの企画に参加させていただきました