【毎週ショートショートnote】スナイパーの意外な使い方
これまで何人この手で殺めてきたことか。
大苦労して闇組織から抜け出し、自由な身となった。
地獄行きは確定だが、少しでも人の役に立つ事をして死にたい。
ネットの匿名掲示板に下記の投稿をしてみた。
「百発百中、なんでも射抜きます。♡以外は」
意外にもDMが殺到して驚いた。
初仕事は慎重に選びたい。
反抗期のひとり息子の為にできることをしたいという女社長の依頼を受けることにした。
高級マンションの物陰に隠れてターゲットの帰宅を待つ。数分後、若い男女が歩いてきた。
「アミたん、俺、仕事で目が疲れたー」
「目薬差しな」
「目薬怖いもん」
「馬鹿なの?二人きりになると甘え過ぎ」
プシュッ!
「痛ッ!」
男が目を押さえてうずくまった。
「ヒロ君、大丈夫?!」
「……大丈夫。目に急に液体が……でも、めちゃくちゃ目が楽になった!なんだこれ」
水鉄砲でも俺は的を外さない。
まさか目薬嫌いの坊ちゃんに目薬を差すために俺を雇うとはな。だが、人の役に立つのならそれでいい。
(410文字)
※こちらの企画に参加させていただきました。