【毎週ショートショートnote】伝説の安心感
私は売れない歌手の鏡竜司。
夕方、公園を散歩していると誰かがカラオケを歌う声がする。周りを見渡すと看板があった。
第30回のど自慢大会
優勝賞品『伝説の安心感』
伝説の安心感？なんだこれは。
受付の人に優勝賞品について聞くとなぜか笑って教えてくれなかった。
「優勝したら分かりますよ。飛び入り参加しませんか」
いいだろう。プロの力を見せてやる。
現在の最高得点は93点か。ここは持ち歌で行こう。
「次は最後の挑戦者です。曲は『竜巻女』」
♪ アイツは竜巻女〜トルネードしてくれ〜
「聞いたことない歌だけどうまい」と話す声が聞こえてきて動揺したが、最後まで歌い終えた。
「さて得点は…95点！優勝です、おめでとうございます！『伝説の安心感』をどうぞ」
新聞紙に巻かれた何かを渡された。
え、焼き芋なの？
「食べてみてください」
ウマッ！なんだこの込み上げてくる安心感は。
「年間30本しかできない芋なんですよ」
知らず涙が溢れた。
とにかくもう安心な気がした。
（410文字）
※こちらの企画に参加させていただきました。
個人的に焼き芋を食べるとなんか安心します。
共感してくださる方がいたら嬉しいです！