三日月ファストパス #毎週ショートショートnote
目の前に三途の川がある。
ああ.死んだんだ、私、やっぱり。
これ、渡るのに時間かかりそう。嫌だな。
「月子様、月子様」
背後から誰かが名を呼ぶので振り向くと、三日月のお面を被った喪服の男がいた。
「お疲れ様です。私、三日月です。ご生前は大変お世話になり、ありがとうございました」
どういう状況?
三日月グッズを作ってぼろ儲けしちゃったけど、それを感謝されているのかしら?
「こちら、感謝の気持ちです。お受け取りください」
三日月の男が三日月を模したメダルを私の首にかけた。
「では、失礼します」
三日月の男がいなくなったと思ったら、私は三日月の上の方に座っていた。やがて、ゆっくりと滑り出し、徐々にスピードが上がる。
あはは、楽しい!!
三日月の下に到達して、私はどこか分からない空間に放り出された。
たぶん、三日月は私に感謝していたのではなく、怒っていたのだと思う。私が詐欺まがいのやり方で三日月グッズを売りまくり、三日月は嫌われてしまったから。
(410文字)
※こちらの企画に参加させていただきました
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