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【毎週ショートショートnote】鳥獣戯画ノリ
独力で漫画を書くのに限界を感じて、漫画教室に通うことにした。
講師は鳥獣戯画の作者の子孫らしい。
鳥獣戯画ってどんなんだったっけ?
「おたく、今日から?」
「あ、はい」
「作品は持ってきた?」
「はい、これ」
「ふむ……なるほど、甲乙丙丁になってないね」
「どういうことですか?」
「君たちは起承転結で書こうとするでしょ?つまらんのだよね、甲乙丙丁じゃないと」
「はぁ」
なんだそれは。
「君の作品だと、蛙と兎はどれ?」
「蛙と兎?出てきませんけど」
「さては鳥獣戯画を知らないな?出直したまえ!」
「失礼な!もう結構!」
なんなんだ、この変なノリは!
数ヶ月後、この先生が権威ある賞を受賞したと聞き、耳を疑った。受賞作を手に取り、目を通す。鳥獣戯画っぽさは全くなく、一気に引き込まれてしまった。
実は凄い先生だった。
もう一度あの教室に行こう。
「鳥獣戯画の勉強してきました!もう一度お願いします!」
「あ、鳥獣戯画ノリ、やめちゃったんですよ。ごめんなさいね」
(410文字)
※こちらの企画に参加させていただきました。