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【毎週ショートショートnote】着の身着のままゲーム機
「ストライク!バッターアウト!ゲームセット!!」
終わった。俺の高校野球。
レギュラーにはなれなかったけど、キャプテンに選んでもらって裏方に徹した。敵チームの情報をパソコンに打ち込んで分析を行い、監督とレギュラー陣に分かりやすい形で提供した。データ野球を駆使して格上の相手に勝ったこともある。充実した三年間だった。
帰宅途中、黒服の二人組に声をかけられた。
「悟くん、だよね?ご両親には許可をもらっている。ちょっといいかな?」
半ば強引に車に乗せられ、研究室のような場所に連れてこられた。天井から声が聞こえる。
「ご両親とは契約済なので君に拒否権はない。このボックスに入ってくれる?5時間もあれば終わるから」
「5時間!せめてユニフォーム着替えさせてよ」
チン!
「お疲れ様。もういいよ」
「何したんだよ?」
「君の高校野球の記憶をこのゲーム機にインプットした。新感覚の追体験ゲームの完成だよ。面白そうだろ?」
「面白いわけあるか、馬鹿野郎!」
(410文字)
※こちらの企画に参加させていただきました