【毎週ショートショートnote】助手席の異世界転生
どうもこんにちは、助手席です。
私、何回転生しても助手席のままなんですけど、これって普通のことですか?
助手席の能力を持ったまま、別の何かになれるのかなと思っていたのですが。
「助手席の能力って何だよ」って思いましたよね?
私の場合は座った人の心を読み取れちゃうんですよ、凄いでしょう?
「おい、どこ走ってるんだよ」
「遠回りしてない?」
「お腹すいた」
「ちょっと臭い」
「メーター上がるの早くない?」
というわけで、今はタクシーの助手席をやらせてもらってます。助手席に座る人、あんまりいないですけどね。
でも、心の中を読み取ってもね、誰にも伝えられないからつまらないんですよ。だから転生して別の何かになりたいんですよね。
キキーッ、ドンッ!
……どうやらまた転生するみたいです。ではまた。
♢
男性が小さな車を運転している。助手席には恥ずかしがり屋の女性。
突然、男性が言った。
「み、美津子さん!僕もです、僕も!」
助手席の女性の顔が真っ赤になった。
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※こちらの企画に参加させていただきました