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可視化は大事だよね? ~MCIS 1周年総会に寄せて
可視化は大事
ソフトウェア開発でもDXでも、施策や成果を見えるようにすること(可視化、見える化)は大事です。もちろん、これらだけでなく可視化はすべての活動において大事です。
そして可視化を具体的な定量データで行うことが一番大事です。抽象的な言葉だけでは可視化とは言えません。可視化したつもりになっているだけです。
本日(2025/1/24)のITシステム可視化協議会(MCIS)の1周年総会に寄せて、この可視化について書いていきます。
1. 可視化は困難
可視化はソフト開発やDXなど多くの活動において大事ですが、可視化は難しいものです。その原因を以下に紹介します。
(1) 対象:可視化する具体的な対象が不明
何を可視化すればいいのかわからないことがあります。作業や製品、施策や成果を可視化するために、具体的に何を可視化すればいいのか不明な場合が多いです。
(2) 方法:可視化する方法が不明
対象をどのように観察・計測し、どのように可視化するのか、その方法が不明な場合が多いです。
(3) 効果:可視化による効果が不明
対象を観察・計測し可視化したデータをどのように活用するかが不明な場合が多いです。可視化には一定のコストが掛かりますが、その効果がはっきりしないとコストを掛ける判断が難しくなります。
これらが可視化が困難な主な原因ですが、ソフトウェア開発における可視化は一層困難です。この理由はソフトウェア開発は具体的な物理対象(ハードウェア)がないため、その観察・計測がより難しいものになるからです。以下にソフトウェア開発の可視化がより困難な原因をまとめます。
・物理的でないソフトウェアはイメージができない
物理的な対象(ハードウェア)でなく、抽象的なソフトウェアを対象にしているために、具体的に何を対象にし、具体的に何を観察・計測し、それをどのように活用し、どのような効果があるのかが、より一層判断が難しくなります。
つまり具体的なイメージを掴みにくいのです。
2. 可視化の価値
何事も可視化しないと、何も語ることができません。これはソフトウェア開発でもDXでも他のことでも言えることです。可視化が必要なことは議論をするまでもないことです。
しかし可視化には観察・計測が必要で、この観察・計測にはコストが掛かります。このコストを上回る効果が可視化にあると思えるかが可視化の価値を決めることになります。
つまり可視化の効果が具体的にわからないと可視化の価値が不明になります。可視化が必要なことはわかるが、その具体的な効果を明示することが可視化を進めるために必要です。
可視化の価値は
(1)作業や施策の明確化
(2)製品や成果の明確化
(3)これらの明確化による生産活動への活用
という間接的効果があります。
そして(3)の効果こそが一番の価値になります。
3. 可視化の施策
どのように可視化をするのか、そのためにどのように対象を見つけ、何を観察・計測し、その結果をどのように可視化するのかという施策を考えてみます。
(1) 対象の発見
可視化する対象を発見することが最初の一歩になります。例えばソフトウェア開発を対象にするとき、具体的に何を対象にするかになります。
ソフトウェア開発のコストと効果を対象にするなら、そのコストと効果をどのように具体的な対象にするかになります。
(2) 対象の観察・計測
対象を具体化し、それを観察し計測します。観察・計測は低コストで行うようにその方法を考えます。コストを抑えるために代替手段で観察・計測するのも手です。というよりも積極的に低コストになるように考えることが大切です。
(3) 可視化の表現
観察・計測した結果を可視化するために分析し、それを可視化の成果として表現する必要があります。
可視化の結果を活用するためにも、この表現が大事です。どのように表現すれば、読者に可視化が伝わるかを考えて表現するようにします。ここで大事なのは(どの場合でも言えることですが)、観察・計測結果から導き出される事実と表現者が推察している事柄を明確に分離することです。
(4) 可視化の活用
可視化した結果を活用します。活用しない可視化は意味がありません。将来活用するかもしれない可視化も意味がありません。可視化してから活用を考えるのは手順前後です。最初から活用イメージを掴んでおく必要があります。
可視化の活用としては、まず活動方針の決定に使います。次に活動の成果の評価に使います。これが可視化の活用に基本です。これらを軸に可視化の活用を考えていくことになります。
(参考)ITシステム可視化協議会(MCIS)の紹介
MCIS | IT システム可視化協議会(旧日本ファンクションポイントユーザ会)は、1994年3月に日本ファンクションポイントユーザ会(JFPUG)として発足し、昨年の2024年1月にITシステム可視化協議会(MCIS)に改称した団体です。
ITシステム測定・可視化の推進を通じて、全ての人や社会の発展に貢献することを目指しています。
筆者はJFPUGにはIPAの会員として、MCISには個人会員として参加しています。ご興味のある方はMCISのウェブページをご覧ください。
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