DXの失敗は裏に隠れる
DXの失敗事例は少ない
DXの事例は世の中に多く公開されていますが、そのほとんどは成功事例です。成功事例の中には、血沸き肉躍る冒険譚とその中に涙なくしては読めぬ苦労話が多く公開されていますので、これは読む価値があります。でも隣の芝生は青く見えますので成功事例の真似事をするのは注意が必要です。「DX事例の活用方法|五味弘 (note.com)」の記事も参照してください。
一方、失敗事例は数えるほどしかありません。失敗事例と銘打っておきながら、最後の最後で成功している事例も多いので騙されないようにしてください。そうなのです、DXの純粋な失敗事例は少ないのです。上記の記事「DX事例の活用方法」で紹介している25事例でも1件くらいしか失敗事例はありません(どの事例が失敗かは私からは言えませんので、興味ある方は探してみてください)。
成功事例が多く、失敗事例が少ないということから、DXの成功確率は高い・・・というのはもちろん正しくありません。失敗事例が少ないのは、DXに限らずに他のものでも失敗事例が公開されにくいという事実があります。失敗は隠したいものです。失敗と認めなければ失敗ではないと言い切ることもできます。この論理で第5世代コンピュータやシグマプロジェクトも失敗ではない(都合により削除されました)。
これにより失敗は成功の裏に隠れることになります。今回はこの隠蔽されたDXの失敗事例を見ていくことにします。
DXの失敗の原因はこれだ
失敗は成功までへの道を歩くのを止めたときに確定する、つまり株やFXの損切りと同じ理屈です。ここではこの言い訳を廃するために(一定期間後にまだ)成功しているとは言えない状態を失敗と定義します。これで多くのDXの失敗事例が出てくるでしょう。
なぜDX推進が一定の期間後でも成功しているとは言えない状態、つまり「失敗」しているのでしょうか。その原因はなんでしょうか。そこで失敗事例(都合により非公開)から見つけた原因を羅列してみます。
「計画倒れ」、この原因が一番多いです。これも2種類に分類されます。本当に無茶、無理、無謀な計画をリソースや周辺状況を無視して立ててしまった誇大妄想が原因です。これはDXの熱狂が収まったあとは、誰の目にも計画倒れであったことがわかる失敗原因です。
もう一つの計画倒れは逆に安易な計画を立ててしまった結果に起こるものです。安易な計画は無事に終了して、DXをやった気にさせて、しかしその実質は今まで通りのカイゼンレベルのことであり、それで満足してしまうというものです。まさに逆の意味の計画倒れです。症状としては「今までと同じ」「だらだら」というものが見られるようになります。やる気がありません。
「一時的」、「持続しない」、「梯子が外される」、これがDX失敗の原因になります。これでDXの熱気が冷めてしまうという流れです。この症状としては「丸投げ」というものが見られます。この丸投げの症状があったときは注意が必要です。
以上がDXの失敗事例の主な原因とその症状です。見てきてわかったように、直接の原因は技術的なことでなく、また人材不足やコストでもありません。しかし間接的にはこれらが原因になっていることもあり、対応は難しくなります。これを次節で見ていくことにします。
DXを失敗しないために
最初に書いたように、途中で止めなければ、失敗を確定せずに成功するまでDX推進ができます。続けることはここでも偉大なのです。でもある一定期間で成功していると言えないと失敗になります。それに何よりもお金が続かないでしょう。損切りも必要です。
やはりDXでも失敗しないためには、早期に小さい成功が必要です。このために工夫をします。これはカイゼンと同じ経過と結果になるかもしれません。このためには早く始めて、いつでもどこでも始めるのがいいでしょうそしてこれを繰り返すのです。これはまったく、カイゼンと同じことを言っています。
これで変革できるのかという声も聞かれるかもしれませんが、DXの目的は変革ではなく、変革はあくまでも手段です。目的は持続的な成功、もっと言えば未来永劫続くお金儲けです(きっぱり!)。このためにはカイゼンとDXのハイブリッドで進めるのが正義です。
ということで今日の結論。「DXの失敗は計画にあり、カイゼンとDXは仲間」以上です。