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AIもコスパが大事(2) - AIの歴史(1)

AIには色々なものがあります。最近の生成AI以外にも、過去のAI にはルールベースのエキスパートシステムなど色々なAIがありました。これらは今でも有用なAIで、今でも使えます。今回は歴史を振り返りながら色々なAIをみていきます。

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AIの歴史

AI(人工知能)には、最近の生成AI以外にも色々なものがあります。ここではAIの歴史を振り返りながら、色々なAIを見ていくことにします。

AIは最初からコストが掛かるものでした。AIの有用性が認められてブームが起きても、その学習コストが高すぎることから、冬の時代を迎えていました。このブームと冬の時代を繰り返しながら、AIは発展してきました。この繰り返しの歴史を見ていきます。

第1次AIブーム (1950年代後半~1970年代前半)

(1) ダートマス会議とLisp、自然言語処理と数式処理

AIが誕生したとされるのは、1956年のジョン・マッカーシーらによるダートマス会議とされています。

1958年に記号処理用プログラミング言語としてのLispがマッカーシーらによって誕生しました。このLispにより、1966年に自然言語処理システムのELIZA(イライザ)が開発されました。また同様にLispによって数式処理システムのREDUCEMacsyma(マキシマ)が発表されました。また上記以外にもチェッカーなどのゲームプログラムもAIの黎明期にありました。

人工無能と呼ばれるジョークソフトや星新一の「ボッコちゃん」も自然言語処理システムの部類に入ります。きっと。たぶん。

当初のAIはこのように数値計算以外の記号処理もAIと呼ばれていました。自然言語処理や数式処理は機械的に処理が行えることから、今ではAIとは呼ばれなくなっていますが、その有用性は今でも十分にあります。

(2) 初期のエキスパートシステム

そして1968-1970年に初期のエキスパートシステムとして、伝染性の血液疾患の診断エキスパートシステム Mycin(マイシン)が開発されました。そして他にもエキスパートシステムが開発されるようになりました。
なおMycinは通常のエキスパートシステムとは異なり、確信度という(自動学習ではなく)手動で与えるパラメータがありました。

これらのエキスパートシステムは簡単な自然言語理解と自動会話システムで構成されています。つまりAIなしの形態素解析と用語辞書だけでも外から見れば一定の知能があるように見えました。

そして最近の大規模言語モデル(LLM)による生成AIもこの延長にあります。学習の方法が手動(または簡易モデルによる用語辞書の自動追加)からLLMによる自動学習になっているところが大きく異なりますが。

(3) ミンスキーによる逆襲

上記のエキスパートシステムは、プログラム的には手動で入れた規則をif-then-elseで回答を選択する確定的なプログラムになります。ただしその規則が多いため、外から見ると、どの規則が適用されて、どのように結果が得たかがわからなくなっています。これが知能のように見えた、いえ、見せかけたものです(きっぱり)。

ミンスキーはニューラルネットワークという神経回路のモデルで人間の学習を模倣するようにしました。これがAIによる学習モデルの始動でした。これが現在の機械学習のひとつである深層学習、そしてLLMによる生成AIに繋がっています。

このときのニューラルネットワークは単層の単純ニューラルネットワークであるパーセプトロンをモデルにしたものです。このパーセプトロンではバックプロバゲーションを行わない単純なモデルです。

第1次冬の時代 (1970年代後半~1980年頃)

1970年代後半になると第1次AIブームは廃れ、AIは冬の時代を迎えます。当初の熱狂が過ぎ去ると、当時のコンピュータ性能の制限により、エキスパートシステムで多数の規則を入れると、まともに動作しなくなり、実用には耐えられませんでした。

このようにおもちゃプログラム(トイプログラム)止まりのシステムしか作れませんでした。

またニューラルネットワークでも、単なるパーセプトロンではXOR問題(*)などの制限があり、これも実用的ではありませんでした。
(*) 真-偽、偽-真の組と真-真、偽-偽の組を分けることができない問題

(予告)第2次AIブーム
こうして、第1次冬の時代を迎えることになり、AIはこのまま過去の遺物、黒歴史となるのでしょうか。

・・・って答えはそうではありません。その後、第2次AIブームが登場します。筆者の活動した時期になります。何もかも皆なつかしい時代になります。これを臨場感とともにお伝えします。お楽しみに。


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五味弘
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