ガーナよりヒロシです

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最近の記事

West Africa Climbing Fest 2023に参加した

 ガーナに来てはや1年が過ぎた。  登山やクライミングが趣味の者にとって西アフリカは退屈極まる地であると思っていた。ガーナの最高峰は、標高1,000mはおろか900mにも達しないし、首都アクラにさえクライミングジムのような気の利いた施設もない。そういうことがしたいのならば、国外に出るしかない、そう思っていた。West Africa Climbing Festの話を聞くまでは。  ケープタウンにバケーションに行った折に南アのクライマーからこのフェスの話を聞きつけると、ガーナに

    • ガーナの生き物たち

       ガーナで暮らしていると、犬や猫といったペット以外の動物を目にする機会が多い。今日はこれまで目にしてきたガーナの生き物たちを紹介したい。 家畜  最も目にするのは、放し飼いにされているヤギとニワトリだ。外をぶらついてヤギとニワトリを目にしないことなどあり得ないというくらいにはありふれた動物である。田舎の我が家であれ、首都の空港付近の超高級住宅街であれ、ヤギとニワトリはどこにでもいるものだ。 ヤギ  家の周りを悠々と闊歩するヤギには初めは驚かされたものだ。メスをめぐって角

      • アディンクラ・シンボル

         アディンクラ・シンボルは19世紀のアシャンティ地方に起源を持つ紋様で、その紋様ごとに意味やことわざが結び付けられているらしい。布や壁に描かれたり、教育機関のロゴにも使われている。クマシの王宮博物館でいくつか紹介されているのを見て、その存在に初めて気付いたが、実はこれまで見てきた風景の中に隠れていた。以下に記号の表と、私が見つけた記号の写真を載せておく。意味は記号の名前でググると出てくるので、自分で確かめてほしい。  日本の文化に似たものが家紋くらいしか思い浮かばなかったが

        • クマシ

           ガーナ第二の都市クマシに来た。家からトロトロ(粗末な乗用バンのバス)を乗り継いでおよそ6時間ほどで到着。とにかく遠いし狭い座席に何時間も閉じ込められるのは不快なのだが、もう慣れてしまったようだ。道中はほとんどが舗装された対面2車線で、中には非常に走りやすそうな区間もあれば、クレーターだらけの舗装もある。  第三の都市タコラディ(家から1時間)と比べると数段活気があり、市域もずっと広いように見える。しかし、タコラディが放射状に整備されているのに対して、クマシはランドアバウトが

        West Africa Climbing Fest 2023に参加した

          デフォルト後のガーナ経済

            世間ではシリコンバレー銀行とそれに続くクレディスイスの倒産が話題となっているが、ガーナでは昨年から続くインフレと自国通貨の減価が落ち着きを見せている。 UPDATE 1-Ghana inflation slows for second month in February  2023年3月15日 Reuter  How gold for oil policy dey reduce fuel prices for Ghana 16 March 2023 BBC https

          デフォルト後のガーナ経済

          pɛ(ぺ)〜ファンティ語の不思議〜

           ガーナに来てからもうすぐ半年になる。あまり上手くなってはいないが、現地語も少しずつ勉強している。私が勉強しているのは、ガーナ西部のCentral regionおよびWestern regionで主に話されている言語、ファンティ語だ。  ”ɛ”, “ɔ”といった馴染みのない音素や、アルファベットで表現されるので発音は容易と思いきや、文字表記には存在しない音を発音する場合があるなど、苦労する要素はあるが、文法は英語と似ているし、難しい単語はほとんどヨーロッパの言語からの借用語な

          pɛ(ぺ)〜ファンティ語の不思議〜

          信徒発見、ガーナと日蓮宗

           町を歩いていると、ガーナ人が話しかけてくる。いつものことだ、ガーナの人たち(特に田舎の人)は実にフレンドリーな人たちで、知らない人にも挨拶する。そして東アジアの人間は、挨拶に続いてアフリカのほとんどのところで、”Are you Chinese?”と聞かれることになる。その度に声を大にして”I’m from Japan!”と答えるようにしている。  この日は近所を歩いていて、知らないおじさんから話しかけられた。前記のようないつものやり取りをして私が日本人であると明かすと、“A

          信徒発見、ガーナと日蓮宗

          大学見学(ケープコースト大学・ガーナ大学)

           大学を見学してきたので報告します。 ケープコースト大学(University of Cape Coast)  ケープコースト大学は西アフリカで最もハイレベルな大学と言われていて、広大な敷地と数万人の生徒数を数える立派な大学だ。  あまりにも広大で、敷地内に農園と植物園があり、敷地内を乗り合いタクシーがいくつも走っている。途方もないデカさに圧倒された。敷地内には大学と関係ない人たちの町まであるそうだ。  このような広大な敷地を有するのは、土地がそれだけ余っているときに大

          大学見学(ケープコースト大学・ガーナ大学)

          最近見たもの3

          新教室完成間近  それにしてもここに来てから何度セメントを作る作業を眺めただろうか。セメントを土手状にしてその中に水を注ぎ込み混ぜる。もんじゃ作りと同じ要領だ。  今月後半から新入生が来るのに合わせて、新しい教室の建設が急ピッチで進められている。今週は全校生徒のほとんどを駆り出して工事させている。そのせいで授業がなくやることがない。増設される2つの教室は完了間近だ。去年の11月にこの学校に来た時に私の自宅のリフォームに先生と生徒を動員していたことが思い出される。  さらに

          停電と断水

           わざわざ書くまでもないぐらい途上国では当たり前のことなのだが、停電と断水は頻繁に起きる。停電も断水も週に3〜4回くらい起こる。我が家に入居した日の夜、水の備蓄もないまま停電と断水が同時に起きた時はさすがに焦った、500mlの飲料水で身体を洗った時のひもじい思いが心に刻まれている。であるから、当然それらへの備へはガーナでの生活において必須のものである。  停電の備えとしては、モバイルバッテリー(携帯用充電器)2個と登山用ヘッドライト、キャンドルを用意している。ガーナに来る前は

          屋根泥棒事件

           学校では、先週から建築科の先生と生徒による仮設の教室の工事が進んでいる。2月から入学することになる新1年生が、今までの生徒の数よりも圧倒的に多いので、教室が足りなくなるのだ。壁は前の学期に作り終えていたので、屋根の木枠を組み立て、その上にトタン板を屋根として設置する作業が進行している。屋根の骨組みの上に先生が立って炎天下の中作業する。何らの安全措置もなしに頼りない木枠の足場で作業するのはかなり危険だと思う。先生たちのタフガイぶりには驚かされるが、万が一のことを思うとハラハラ

          パームワイン

           お酒好きの皆さまお待たせしました、地元のお酒の紹介です。今回ご紹介するのはパームワイン。製造過程も見せてもらったので合わせてご覧ください。  パームワインは、パームナッツ(油ヤシ)の木を切り倒した樹液から作られるお酒です。果実のパームナッツから採られる真っ赤なパームナッツオイルは、ガーナでは食用油として頻繁に利用されています。アルコールは醸造ぐあいにもよると思いますが、今回買ったものは5%以下でした。味はやや刺激的な酸味とほのかな甘味が感じられました。別の機会に飲んだもの

          ヨーロッパ史の中の西アフリカ(オランダ独立編)

           以前の記事で述べたように、ガーナには海岸沿いにヨーロッパ人が建設した数十もの要塞があり、そのうち最も巨大なケープコーストのエルミナ城を初め、私の任地シャマにあるフォートサンセバスチャンなどはポルトガルが15世紀末に交易所として建設し、その後17世紀中ばにオランダに奪取されている。ポルトガルといえばインド航路を開拓することで香辛料貿易を独占、16世紀において世界を股にかける大海上帝国を築いた覇権国家である。最初に日本にやって来て南蛮貿易を始めたのもポルトガルであった。同じくオ

          ヨーロッパ史の中の西アフリカ(オランダ独立編)

          デフォルトに陥った国で

           先月、ガーナは対外債務の不履行、つまりデフォルトに陥った。そのつい一週間ほど前には、IMFがガーナの財政を支援するため、30億ドルのローンを決定したばかりだったが、そのローンが支給されるまでに起こったのは残念だった。 デフォルト以前の経済の混乱  この国の経済はどう考えても混乱に陥っていた。手当をドルで支給される協力隊員にとっては、為替レートにその混乱が現れていた。2022年の初めには1ドル6セディほど出会ったのが、私が入国した10月には12〜14セディに。IMFのローン

          デフォルトに陥った国で

          最近見たもの2

          タディ(Tadi)フェスティバル  クリスマス前後にタコラディで行われるお祭り。独特の派手な格好をして街を練り歩きダンスする。やたら背の高い竹馬のようなもので歩く人もいる。タコラディの街はいつもよりも賑わっていた。祭りの由来はよく分からない。 自転車  MTBを買った。近くの市場まで2・3キロあるのでアクセスが便利になると同時に、近所には未舗装路があふれているので散策にはもってこいだ。日本でグラベルロードバイクに乗っていた時には未舗装路を探すのが困難だったが、ガーナではそこ

          サンセバスティアン要塞、オラニエ要塞

           ガーナには海岸沿いにヨーロッパ人が15世紀後半〜17世紀ごろに建てた要塞が 点在している。これらの要塞はその地に滞在する彼らを保護し、交易を行う拠点として建てられたもので、ヨーロッパ人は奴隷・金・象などを買い求めると同時に、彼らの国で作られた銅・青銅・鏡などの加工品を販売する目的もあった。  これらは植民地支配が行われる以前の時代のもので、大西洋三角資易の一角を担う悪名高き奴隷貿易において重要な役割を果たした遺跡である。奴隷貿易で新大陸へ輸送された黒人の数は推定4000万人

          サンセバスティアン要塞、オラニエ要塞