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1991年ソ連旅行(4)

 天津からの列車は、ちょうど夜が明けたころに瀋陽に到着しました。この列車はそのまま吉林省の北朝鮮に近い街、図們まで行きます。この時は図們という街に特に関心はなかったのですが、ここへは17年後に行くことになります。

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 4月ではありますが、さすがに早朝の瀋陽は寒いです。実は国際フェリーで知り合った中国人の中に瀋陽の方がいて、私が瀋陽に行くことを告げると迎えに行ってあげるよと言ってくださったのですが、その際に瀋陽に行く予定の日時を伝え、実際運よくそのとおりに到着したのですが、特に連絡方法もなかった(当然ながら当時は携帯電話などありません)ので、しばらく駅前で待っていましたが、誰もいなさそうでした。その代わり胡散臭い中国人が入れ代わり立ち代わり私に声をかけてきました。おそらくぼったくりタクシーの運転手なのでしょう。中国語で話しかけるので無視するしかないのですが、さすがに鬱陶しいので、2時間ほどしたらそこを去って次の目的地である長春までの鉄道切符を買いに切符売り場に移動しました。東京駅を模したと言われる瀋陽駅の外国人用切符売り場窓口は、他の窓口と違って混んでいませんでした。指定の列車番号と長春行きのメモを窓口に渡すと、なにやらメモを書かれて返されました。ちょっと読みにくかったのですが、どうやら「北駅」と書かれています。実は日本であらかじめ中国の鉄道時刻表を入手して、利用する列車を下調べしていたのですが、瀋陽北駅という存在はありませんでした。それでもこことは別の駅であることは解しましたので、駅前で地図を購入して瀋陽北駅へ行くバスを調べてそのバスに乗り込みました。すでに天津でバスの乗り方を学習していたので、バスに乗ること自体は困難ではありませんでした。

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(写真は、上が当時の、下がその17年後の瀋陽北駅です。上の写真に写っているバスがいい味を出しています。改革開放万歳!)

 瀋陽北駅はまだ新しくできたばかりの駅のようで、周りには何もありません。だから日本で買ったやや古い鉄道時刻表には北駅の記載がないわけです。そして北駅の切符売り場は瀋陽駅と違ってやや閑散としていますが、それでも外国人用窓口がありましたので、そこで先ほどのメモを提示しました。切符を買うにはこれで十分だと思うのですが、係員はなにやら問いかけます。外国人用窓口といってもそこの係員が外国語を話すわけではありません。外国人が列に並ばなくても済むようにというありがたい配慮に過ぎないのです。幸い私の後ろには誰もいないので、こういう時は筆談をするのですが、それでもわかりません。音を上げそうになったころ、ふと係員が「パスポート」とつぶやいたので、ようやく何が必要なのかを理解することができ、めでたく切符を入手することができました。できたのですが、外国人用窓口でもこのありさま、切符を買うというのは本当に大変なことであるということをあらためて認識しました。

 バスで瀋陽駅に戻り、今度はホテルを探します。中国で安く旅行するにはいわゆる「ドミトリー」という、ベッドを借りるという大部屋スタイルの宿泊スタイルを利用するのがコツ、というか必須なのですが、ここ瀋陽にはそのようなホテルの存在情報がありません。駅前周辺をうろうろしましたが、既に自分は中国人民と同じような旅行をする根性はないと悟り、比較的見かけの綺麗なホテルに入りました。幸運なことに、ホテルの受付に日本語ペラペラの係員がいて、1泊99元(当時のレートは忘れましたが、3千円もしなかったはず)と思いのほか安かったので、初めからここにすればよかったと思ったものです。もう「地球の〇き方」教信仰はやめ、楽な方に流されることに決めました、といってもそれでも決して楽ではないのですが。(下はホテルの領収書。「外貨兌換券」というゴム印が当時を物語っています)

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 これでようやく観光に出ることができます。瀋陽は清王朝が北京に遷都する前の都ということで、その宮殿であった「故宮」に行くことにします。こういう時はやはり駅前というのは便利がいいもので、1本のバスで行くことができました。

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 これからの旅程は、長春に行ったあと一旦北京に戻るのですが、北京にも故宮があり、こちらは世界的観光地なので、相当賑やかなのだろうことは容易に想像がつくのですが、瀋陽のそれは静かで地味な感じです。瀋陽は寒いところなのでそれでかなと勝手な想像をしたりします。そもそも私が中国東北地方に足を向けたのは、ヒット映画「ラストエンペラー」の影響によるものです。瀋陽自体は映画には出てきません(すぐ隣の撫順は出てきます)が、いわゆる旧満州国の主要都市(当時の都市名は奉天)であるので、長春に行く途中によったのです。あとは、東洋史を専攻する私の、単純に清王朝に対する興味といったところでしょう。

 後、瀋陽には清王朝の歴代皇帝の陵墓があるのですが、寒い中を歩き回って少々熱っぽくなったので、本日の観光はこれで取りやめます。明日は長春です。

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