クォードって、いろいろ丁度いい種目だよねって話 20240520

おはようございます!!

今回は、前回好評だったダブルスカルの話

に引き続き、
クォード(4人乗り、今回は舵手なし)の個人的な話を。

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ダブルより人間関係が楽

クォード、正式名称クォドルプル。
クォドルプルと誰もスムーズに言えないので
ほとんどの人がクォードと言います。
(今回は舵手無しについて)

4人乗りなので
ダブルスカルほど
1対1の人間関係を求められず、
人間関係的にはちょっと気軽な種目です。

2人で一緒にご飯は食べられないけど、
4人だったら大丈夫、
そんな関係あるじゃないですか、
そんな感じ。

テクニック的にも、4人もいるので
4人が同じ動きをするなんてそもそも不可能だよね、
多少ズレてても仕方ないよねっていう心の前提があるので、
ダブルスカルほど他人に対してイライラしません。

乗艇動画を見ても、4人の中で、
あの人はここが悪い、
あの人はここが良いって、

良いところと悪いところが
4人もいると非常に比べやすい、発見しやすいので、
個々人が前向きになりやすい種目でもあります。

そして、なによりめちゃくちゃ速い。
エイトとほとんど同じスピードが4人で出せる。
スピードが出るので、それだけで許される。
売上は全てを癒すならぬ、
艇速はいろんなストレスを
「ま、いっか。速いし。」
してくれます。

そしてエイトだと
漕ぐ人が8人もいて、
「俺、漕がなくてもいいんじゃね?」
っていう誰しも思う
エイトにおける自分の存在意義の少なさに戸惑うことが多いですが、

クォードの場合、
一人でも漕がなくなったら急激にスピードが落ちるので、
一人一人の役割が大きくやりがいがあります。

クォードの人間関係

クォードの人間関係で一番怖いのは、
3人上手くて、一人だけ下手なとき。
もしくは3人がめちゃくちゃ仲良くて、一人だけポツンだったとき。
要はいじめみたいな構造。
滅多にないですが、これが出来上がってしまうと
3人からの総攻撃を一人で受けることになります。

この場合3対1なので、
ダブルスカルよりもきつい人間関係になります。

「あいつが漕げれば俺達はもっと速くなるのに」
と思っている3人と、
「きっと全部自分が悪いんだ」
が1人同乗するクォードは非常に厳しいものがあります。

また、ちょっと意地悪な最上級生3人と、下級生一人のクォードの場合も、
下級生が下手だった場合、プレッシャーはやばいでしょう。
「あなた次第で、私達の最後のインカレが決まるから」という
無言のプレッシャーを毎日。

そういうときは、
「インカレ当日急に欠席しようかな、それは先輩次第ですよ」
という強い気持ちをもってくぐり抜けましょう。
あなたがいないとそもそもクォードは組めないのですから。

3対1なのに唯一雰囲気が良い例は、
いじられ系で怖くない下手な先輩1人ポツンと、
上手な後輩3人が乗っているクォードは、
割と雰囲気良くいけます。
先輩はどれだけ下手でも、「先輩」である事実は変わらないので、
自信をもって生きていけます。
がんばれ先輩。応援してます。

ローイングの特異性

ローイング競技において、
持久力だとか、パワーだとか、
テクニックだとか、それはそれで大事なのですが、

他の競技とは最も違う、最も特別な必要な能力は
言葉の選択力です。
人との距離感です。

あなたの周りに必ず存在する
「言いたいけど、言えない」人に、
どうやって伝える
か、
どの言葉を使って、いつどの場面で言うのが
最もあとくされないか。

「言ったら余計雰囲気悪くなった」
「言わなくて負けて全然おもしろくなかった」

そんな二度としたくない苦い経験を数多くこなして、
どうしたらクルー全体の最適に近づけるか。
「今日こそは言うぞ!…言えなかった。」を何回も失敗して
自分のモヤモヤをどう昇華させるか。
ボートほど、言葉遣いを気にするスポーツはないんじゃないか、と思っています。

4人の嬉しいところ

その点クォードは非常に言いやすい。
特定の人に「もっとやる気出せよ!」って言いたいけど怖くて言えなくても、
「みんなもっとやる気だそう!」って間接的に言えるのがクォードの素晴らしさ。

(エイトだと、間接的すぎて「これは俺に対してじゃない」ってなりがちなので、指名しないと伝わらない。)

そしてクォードだと相談する相手が比較的いるので、
その悩みを共有しながら立ち向かう経験を積むことができるのも
嬉しいところです。

誰がコールするか問題

クォード(舵手なしの場合)は練習中、
必ず特定の一人の漕手がコール(漕ぐ、漕がない、もっとここをこうしようなど全体に指示)を出します。
なので水上でめちゃくちゃ喋る特定の人が存在します。
要はクルーの雰囲気をかなり決める人が一人存在します。

たいてい一番上手い人が一番前に行くのですが、
その雰囲気担当はバウか、2番など、後ろの方にいることが多く、
その人が

怖いか、怖くないか、
元気か、やる気がないか、
指示が適切か、速いか遅いか、
そもそも声が聞こえる、聞こえないかで、
だいぶ練習の質が変わります。

3対1の状況は危ないと前に書きましたが、
コールをする選手がだいたい雰囲気を司るので、
「下手、怖い、先輩」がその担当になってしまうと、
後輩3人は何も言えなくなります。
3人が下手で怖い先輩の不適切な指示のもと漕ぐことになるので、
なかなか上手くいきません。

先輩がコールを担当する場合は、
上手かろうが下手であろうが、
後輩から若干のイジられ余地、聞く力がある必要があります。
自分が「言いたくても言えない」人間の一人になっていないか、
クルーの潤滑な雰囲気のためには
コールをする先輩は常に自問する必要があります。

現状の漕ぎの中で、
どういう順番で選手を並べれば速いかも大事ですが、
どういう順番で並べれば雰囲気良くトレーニングが積めて
将来的に一番良くなりそうかも、もっと大事です。

こんなに雰囲気を気にするのは自分だけかもしれませんが、
本当にクォードって種目は、
ダブルほど深刻になりにくいし、
エイトほど他人事になりにくいし、
4人でちょうどいい良い種目だなと思います。
高校生のクォードという種目は本当にちょうどいいチョイスだなーと思います。

以上クォード(舵手なし)の紹介でした!

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