60分エルゴで途中でスコアを落とすことがむしろ最も効果的なトレーニングになる理由:持久力を飛躍させる心拍数管理の極意20241015
導入:日本のエルゴトレーニングアプローチへの疑問
日本のローイング界では、長時間のローイングエルゴでのトレーニングにおいて「スコアを落とさずに漕ぎ続ける」ことが長年理想とされてきました。多くの選手にとって、60分間のエルゴメーターで最初から最後まで一定のペースを維持することが、高い技術力とメンタルの安定性を示すものとされています。
しかし、これがすべてのトレーニングに最適かと言われると、必ずしもそうではありません。特に、持久力トレーニングにおいては、スコアよりも心拍数を管理することが、持久力向上と体の適応において鍵を握ることが多いのです。
心拍数を維持することの本当の意味
持久力トレーニングの主要な目的は、心肺機能の向上とエネルギーの効率的な消費にあります。特にゾーン2(血中乳酸濃度が2mmol/L以下の有酸素運動。最大心拍数の7割から8割)の領域では、体がエネルギーを脂肪から効率的に得る状態を作り出し、持久力を高めます。
エルゴメーターで60分間ゾーン2を維持する場合、後半になるにつれて心拍数が自然に上昇してくることがあります。しかし、重要なのは、この心拍数上昇に伴ってスコアが数秒落ちても、心拍数を目標ゾーン内に保ち続けることです。これにより、体が適切に負荷に対応し、持久力を効率的に強化することができます。
心拍数維持の具体的なメリット
効率的なエネルギー消費:ゾーン2トレーニングは、脂肪をエネルギー源とするため、長時間の運動で持続力を高めます。心拍数を維持することで、体がこの効率的な代謝を続けることができ、持久力が長期的に向上します。
疲労回復の向上:スコアに固執せず心拍数を管理することで、体への過度なストレスを防ぎ、次の日のトレーニングにも悪影響を与えません。これにより、トレーニングの継続性が高まり、パフォーマンスが長期的に安定します。
持久力と心肺機能の向上:持久力トレーニングの目的に合致しており、体が長時間持続できる強度で効率的に心肺機能を高めることができます。
スコアを維持するトレーニングの効果
一方で、スコアを維持し続けるトレーニングにも、短期的なパフォーマンス向上やレース対応力を高めるメリットがあります。特にレースでは、疲労が蓄積しても一定のペースを維持する能力が求められるため、このようなトレーニングは実戦向けの準備として非常に有効です。
スコア維持のメリット
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