日本のローイングと世界との差はあと◯◯秒20240807
日本のローイングを強くするためには、
まず現状把握が必要。
自分が日本代表として、
世界選手権や世界大会に参加した中で
感じた(今も感じている)のは、
現状、日本と世界のトップとの差は
だいたい20秒差あるということ。
(2004年のアテネ五輪のLM2Xがあと4秒)
すごく調子が良くて10数秒差。
調子が悪いと30秒ぐらい離される。
今回、荒川選手がめちゃくちゃ良かったけど、
おそらく日本全体としてクルーを組んだ場合
世界トップとの差は依然として
20秒ぐらいのように思う。
下は、男子の世界最高記録の一覧。(wikipedia参照)
だいたい+20秒が日本代表で、
だいたい+40秒がインカレ優勝タイム。
(エイトだけインカレは+30秒ぐらい。おそらく水の抵抗がすごすぎるため)
日本が強くなるためには、
シニアにとっても、大学生にとっても
あと20秒。
大学生が20秒上がれば、
負けじとシニアも20秒上がるだろうし、
シニアが20秒上がれば、
その刺激を受けて大学生も20秒上げてくると思っている。
どっちが先かはわからないけど、
あと20秒(約100m)伸ばせば
金メダルは近いということ。
どうやって差を縮めるか
20秒という差は、ほとんどエルゴの差。
エルゴがみんな20秒伸びれば、
だいたい戦えると思っている。
問題は、どうやって伸ばすか。
エルゴを伸ばすためには、
ローイングに必要な筋肉を
必要なだけ鍛える必要があって、
例えば不必要な筋肉を過度に鍛えてしまった場合、
そこで無駄にエネルギーを使ってしまう、
無駄に酸素を使ってしまうので、
非常に逆効果になる。
「マッチョになったら疲れやすくなった」
というのは、あながち間違っていない感覚で、
ウェイトが好きじゃない、という選手が一定数いるのも
そういう理由だと思っている。
自意識的には、特に鏡に映る自分、
マッチョな自分に自信を感じるんだけど、
ローイング的には
胴の太さとか、おしり、背中の大きさとか、
そういう鏡には写りにくい場所が大事なように思っている。
どれだけ酸素を取り組み・運べるか、と
どこで酸素を使うか。
その酸素を使う場所がいわゆるテクニックであり、
それがローイングの本質に近い部分であって、
「エルゴを20秒伸ばせば良い」という言葉は
非常に単純なんだけど、
そこにはかなり戦略的、本質的なトレーニングが必要になってくる。
(もちろん「ただ漕ぐ」だけで、エルゴは伸びるけど、
頭打ちになったあとの20秒の話。)
だからこそ、
エルゴが速い=だいたいの人がローイングも上手い
のです。
逆に言うと、
上手く漕げる=重要な筋肉を使って漕いでいる=重要な筋肉がトレーニングで鍛えられている=エルゴが伸びる
なので、
結構、エルゴと上手さは結構相関していると思っている。
もちろん体重があればそれだけでエルゴが伸びるから、
「体重の割に」というのはもちろん必要。
どれだけ酸素を取り込み・運ぶかは
生理学の話、トレーニングメニューや栄養学の話。
どこで酸素を使うかは
ローイングの超専門的な話。
どちらも強力に理解し、
強力に実践できるコーチ、
それを可能にする資金力と
野望に溢れた選手。
ちなみに
いまだ日本がオリンピックでメダルを獲ったことのない競技は
ハンドボール
近代五種
ボート
トライアスロン
ラグビー
バイアスロン
ボブスレー
リュージュ・スケルトン
らしい。
これを見て、
めちゃくちゃワクワクするのは私だけでしょうか。
「お家芸」の競技を選んだ人は、
もちろんメダルの可能性は非常に高いですが、
「史上初」はもうないのです。(連覇するか、たくさん獲ればもちろん成れる)
ローイングが、
持っている最大の長所は、
「メダル=史上初になれる」ということ。
そしてローイングの場合、
個人種目でもチーム種目でも
どちらでも史上初を狙えるということ。
こんなワクワクする競技他にはない。
ワクワクする人をどれだけ集められるか、
どれだけ環境を作れるか、
そこに選手が加わった時に、
ワクワクが実現すると思っている。
がんばれ日本、
がんばれ中野紘志。
どうぞ、末永く応援お願いします。