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【行ってみた】新年早々に「自己紹介改善クリニック」でみてもらった。
自己紹介が苦手なので克服するため、商店街にある「自己紹介改善クリニック」に行ったら患者は僕だけで、すぐに診察が始まった。医師は中年の小太りの男性だった。ドラ○もんにそっくりだった。
「ヒロセ・ケンさんね、では、まずはじめに、自己紹介をどうぞ!」
「先生」
「なんだね?」
「その自己紹介が苦手なんです」
「簡単だよ、簡単。自分のことを紹介するだけ、たった140文字で。では、どうぞ!」
「先生」
「なーに?」
「楽に自己紹介する方法を教えてくれる病院じゃないんですかここは? 僕はずっとね、note始めてから、いやnote書く前から、もうずっと、昔から自己紹介が苦手なんです。そりゃね、この歳にもなれば、人前で自己紹介する機会はありましたけど、そんなの適当に名前とか出身地とかあたりさわりのない趣味を言っとけばいいんです。実物がここにいるんだから、百聞は一見にしかずで、俺を見ろと。俺の姿を見ろと。これだけで十分なんですよ。ひるがえって、noteの自己紹介欄。何を書いたらいいんですか? 考えれば考えるほど何も書くことが浮かばない」
「浮かばない、と書けばいい」
「はい?」
「自己紹介は浮かびません、と自己紹介すればいい」
僕は息を呑んだ。一瞬、「自己紹介は浮かびません」と本気で書こうと思ったけれど止めた。それはあんまりにもあんまりだ。コミュニケーションの拒否、デタッチメントの極端な形だ。僕は沈黙した。3000年前のエジプトのミイラのように口を閉ざした。先生は頬杖をついて窓の外を見ている。
自己紹介が、浮かばないんじゃない。もしかしたら、たくさんありすぎるのかもしれない。言いたいことがたくさんあって、訴えたいことがたくさんあって、それを短文できれいにまとめようとして、頭を抱えているのかもしれない。
よし、なんパターンか作ってみて、先生に添削してもらおう!
パターン1 美女と野獣のガストン風
『女性としゃべるのが苦手です。ごちゃごちゃ言わずにこっち来てセックスしようよ?とすぐに言っちゃうので、嫌悪されるか、惚れられるかの両極端で、たいていフォローを外されます』
→ ここは神聖なるnoteなので却下。
パターン2 おしゃれなパリジェンヌ風
『ジュマペル・イロセ・ケン。バタイユの眼球譚が愛読書です。シモーヌの放尿シーンが忘れられません』
→ ここは神聖なるnoteなので却下。
パターン3 太宰治風
『私は、その男の自己紹介を、三度、聞いたことがある。一度は、その男の、放蕩時代、とでも言うべきであろうか、キャバクラでボーイをやっていたころの話であって、副業でスカウト業や、風俗店の面接官も、やりくりしていたと聞いて、ひどく身震いした』
→ ここは神聖なるnoteなので却下。