廣澤やすまさ

ブランドストラテジスト /クリエイティブディレクター /コピーライター ◆ https://yasumasa-hirosawa.com/

廣澤やすまさ

ブランドストラテジスト /クリエイティブディレクター /コピーライター ◆ https://yasumasa-hirosawa.com/

マガジン

最近の記事

#15 インナーの無理解に対抗できるかもしれない、LVMHの例。

これまでブランディングの仕事をしてきて、インナーブランディングのところだけでも各社それぞれにさまざまなハードルがありましたけど、中でも高めというか、それが出てきたら難しくなるに決まっているケースがありました。それは、社長の無理解!ですね。基本的にブランディングを発注してくださる方は経営陣であることがほとんどですし、理解もそれなりに有るわけですが、その方が副社長や専務だったりして、いざ社長にお会いしてみたら、ブランディングの必要性なんて感じていない場合もあります。これまで経験し

    • #14 ブランディングとDXが、企業変革の両輪だと思いますよ。

      DXとは「デジタル・トランスフォーメーション」のことですが、ここ数年で飛躍的に一般化した言葉ですよね。そのDXについて人々が、これからの企業活動にいかに大事かを意識するきっかけになったのは、2018年9月に経済産業省が発表した『DXレポート』かもしれません。そこには、しっかりしないと「2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性」と書かれていて、それが「2025年の崖」とも表現されています。「壁」ではなく「崖」ってところに経済産業省の危機感が現れて

      • #13 いちばんのハードルは、インナーとアウターを結びつけるところにある。

        ブランディングを進める時に、インナーとアウターに分けて考えるのは、まあフツウですよね。インナーは社内向けの作業で、理念体系の整理や浸透、業務への落とし込みなどがメインになり、アウターは社外向けの作業で、業務に落とし込まれた自分たちのあり方のアピールなどがメインになります。つまりやることがぜんぜん違うので、分けて考えるわけです。でも、だからといってインナーは経営企画室で、アウターは広報宣伝部みたいな縦割りで担当部署を変え、結論だけ共有するというのは分け過ぎです。さらには外注で、

        • #12 利己的な「収益」に勝つには、「善意」を鍛えるしかないかもね。

          この1〜2年で、理念体系をまとめるのに一般的なMVV(Mission,Vision,Value)の「ミッション」に変わって「パーパス」を使うところも増えてますけど、「パーパス」も「存在意義」の方向で使われているので「ミッション」の使われ方と差はなく、言葉はどっちでも良いと思います。で、そのパーパス絡みで、最近読んだネット記事に「収益の成長に優先されるパーパスなんて、ウソかきれいごと」みたいなことが書いてあって、こういう見解に触れた時に僕はいつもPatagoniaのエピソードを

        マガジン

        • 参考
          1本

        記事

          #11 商品やブランドをアピールする前に、やって欲しいこと。

          人に何かを知らせたいとき、伝え方の整理はとても重要になります。でも、ブランド側のいろんな伝え方を見ていると、整理が上手じゃないなぁと思えるケースがけっこうあります。では、訴求ポイントはどう整理していけば良いか。その便利なやり方について書いていこうと思います。 例えば商品で考えてみると、それはとても多くの要素で成り立っているはずで、訴求ポイントとはその中で競争力のある「強み」、つまりほかに差がつけられる部分を抽出するってことです。そもそも商品開発は、これまで無かった機能などに

          #11 商品やブランドをアピールする前に、やって欲しいこと。

          #10 タレントがビールを飲んで「オイシー」っていうCMのこと

          ちょっと気になって、ビール系各社のホームページ(2021年5月時点)で、CM紹介からそれぞれのブランドの出演タレントの人数を数えてみました。ざっとなので数え間違いがあるかも知れませんけど、結果を発表するとキリン=29人、アサヒ=10人、サントリー=3人、サッポロ=2人でした。すごいですよね。これだけの人々が、ビール、発泡酒、第3のビールをウマそうに飲んで、「オイシー」って演技合戦しています(その演技は全員じゃないけど)。多いと思って調べたんですが、さすがにこの数にはビックリだ

          #10 タレントがビールを飲んで「オイシー」っていうCMのこと

          #9 あなたの会社、アタマとカラダは連動してる?

          皆さん、企業理念と聞いて何を思い浮かべますか? 僕の場合、社長室に「顧客第一」とか「社会貢献」とかの額が掛かっているヤツなんですけどね。たぶん、社長? 創業者? は、本気でお客様や社会の役に立とうと思って掲げたはずですし、それはそれで良いことなんですけど、けっこう多くはただのお題目になっちゃってるんじゃないかな。ふだんの企業活動に活かしているわけじゃない感じ。なぜでしょう。それはきっと、今やもう当たり前すぎるからです。誰でも分かっていることを言われても、ふつうはスルーされます

          #9 あなたの会社、アタマとカラダは連動してる?

          #8 人はどこで、ブランドにビビッと来るのか?

          人はどんな場面でブランドを判定しているのか、と考えると、それはブランドとのいろんな接点ということで、じゃあその接点の全体像はどうなっててそれぞれどんな特徴があるのかをハッキリさせなきゃいけなくなります。で、ここではブランドとお客様の接点についてのいろいろを説明していきます。 数あるマーケティング戦略の中で、実行段階に位置づけられている、マーケティングミックスという手法があります。実行の場を4P、4C、7Pなどに分けて考えようというものですが、これらに挙げられている4とか7の

          #8 人はどこで、ブランドにビビッと来るのか?

          #7 ベンツ、BMW、そしてボルボ。

          今回は、僕がブランドというものに興味を持つきっかけになった、海外の自動車会社のことを書いていきます。1985年〜2000年頃にかけて、僕はフリーランスのコピーライターとして次々と、ベンツ、BMW、アウディ、ボルボ、ローバーグループ4ブランド(ローバー、ランドローバー、ミニ、MG)などの広告制作に関わっていました。ただ、昔のことで記憶も曖昧になっている部分があり、勘違いしているところもあるかもしれず、そこは私見ということでご勘弁を。 まずベンツの話から書いていきます。当時のダ

          #7 ベンツ、BMW、そしてボルボ。

          #6 あなたの会社の意識は、80年代のままじゃない?

          最初に質問します。「企業はものを売るのが仕事だと思いますか?」この問いかけに、即答で「当たり前」と思った方々には特に、この先も読んでいただきたい。もちろん、「売るのが仕事」がまったくの不正解とは言えませんけど、それ以外にも考えなきゃいけないことがあるんで、ここは即答じゃなく、少しは悩むべきところです。ポイントは、ものを売るのは「手段であって目的ではないかも?」ということについてです。ドラッカーは『マネジメント 基本と原則』という本で、「企業とは何かと聞けば、ほとんどの人が営利

          #6 あなたの会社の意識は、80年代のままじゃない?

          #5 小さくたって、無名だって、ブランド。

          ブランドとは、「印象を良くして活動し続けていきたい事業体のことで、自治体も含む」みたいに最初の投稿で書きましたが、実はこれ、僕なりの考え方なので、ここでもう少し突っ込んで、どうしてこう定義したのか説明しておきます。 まずブランドの語源を調べると、家畜の焼印から来ていて、「この牛は俺んちのだ」と区別するためだったとか。さらに、通説となっている定義を追っかけてみると、敬愛してやまないマーケティングの神様のコトラーによれば、「ブランドとは、個別の売り手または売り手集団の財やサービ

          #5 小さくたって、無名だって、ブランド。

          #4 ブランディングが進むと、広告が要らなくなるよ。

          ブランディングって、ざっくり言うと「自分たちのブランドを、知ってもらい、ファンになってもらい、広げてもらう」ための活動だと僕は思ってますけど、その領域には、これからは特に「自分たちのブランド」の存在価値を維持していくことも含まれます。とりあえず、図解しますね。 さて今回はこの前提で書いていきますが、これらの活動が最高にうまくいくと、何が起こると思いますか? 特に何もしなくても「ものやサービス」が売れてくれるようになるんです。例えば広告しなくても良くなってしまう。 ドラッカ

          #4 ブランディングが進むと、広告が要らなくなるよ。

          #3 企業スローガンの英語化に、反対します。

          企業スローガンというのは、主に目にするのは広告になるけど、企業理念のエッセンスをキャッチフレーズ化したもので、タグラインとも言われます。キャンペーンスローガンとは違うもので、キャンペーンで使ってたものが企業スローガンまで格上げされることもあるでしょうが、知ってる限りでは旭化成の「昨日まで世界になかったものを。」くらい。これは企業広告のキャッチフレーズだったけど、その時点で企業の理念やビジョンをしっかり言い当てたからこその昇格で(素晴らしい)、珍しいことだと思います。それはとも

          #3 企業スローガンの英語化に、反対します。

          #2 はじめ方でつまづきがちな、ブランディング。

          ブランディングの専門家なんて、社内にいるわけもないし、育てる時間もないし、たいていは外注になりますよね。で、頼まれた専門家は、まずはブランドのあり方をまとめていく代表的な手法のMVV=Mission、Vision、Valueを考えることなどから、ブランディングを推進することになります。で、この人が自分のやり方にこだわりすぎていて、どのブランドにも自分流を当てはめようとするタイプだと、あぶない。ヒアリングを重視しない人は、まずダメです。 100のブランドがあれば100の個性が

          #2 はじめ方でつまづきがちな、ブランディング。

          #1 ブランディング雑記帳、はじめます。

          これから、ブランディングについてのいろいろを、かなり気ままに書いていこうと思います。それで雑記帳という名前にしましたが、最初にブランディングの定義だけはきちんとしておいた方が良いと思うので、そこから始めます。 では早速、ブランディングの定義ですが、「自分たちのブランドを、知ってもらう。ファンになってもらう。広げてもらう。」という活動のすべてを指します。かつてブランディングは単にロゴのことだったりプロモーションのことだったり、狭い意味で使われていましたが、今ではだいぶ進化し

          #1 ブランディング雑記帳、はじめます。