今だから明かせる会社での「奇人変人のふり」
佐藤大朗(ひろお)です。早稲田の大学院生(三国志の研究)です。20年弱続けた会社員生活を辞めて、アラフォーの無職、大学院生です。
昨日は、「たたかう研究室」というウェブ講座?(9週間のみ)で知り合ったひとと、オンラインで音声のみで雑談していたんですが、
ぼくは前までの職場で、
・会社で友達を作りたいわけではない
・「人望がある/ない」のレースに参加しない
・あまり個人的な領域に立ち入られたくない
・仕事をたくさん振られたくない、残業はイヤだ
という気持ちがあったので、意図的に「奇人変人のふり」をしていたんです。もう時効なので自白してもよいでしょう。
ぼくの場合、歴史(とくに三国志)の勉強にエネルギーと時間を割きたいから、職場で「浮いている」ぐらいが丁度いい。かといって、業務に支障が出るのはもちろんNGなので、
「必要最低限の仕事はきっちりやるけれど、なんだかよく分からないやつ。深入りしたくないやつ、誘いたくないやつ」
ぐらいの距離感でいたかった。
大きな益はないけど、べつに害もないよね、ぐらいでいたかった。
そのためにぼくがやったのは、「部署全体が比較的忙しくなく、議題が少なくて退屈な会議」「会議の場を仕切っているひとが、おふざけモードに入ったとき」などを狙って、会社のひとにはだれにも分からない三国志の比喩を突然持ち出すんです。
「〇〇年の〇〇の戦いにおける〇〇みたいですね!」
「この言葉の語源は、〇〇という故事でしたよね」
定期的にこれをやると、
「佐藤くんは、三国志が好きなんだから、しょうがないなあ」
「佐藤くんだから、仕方ないね」
みたいな、諦めムードが漂います。だれも、ネタとして拾うことができないのですが、それでいいんです。
ときどき空気を読めないボケ担当などが、「それってどういうことですか?」といじってきたら、立て板に水で、めちゃくちゃ早口で、周辺知識を説明します。文字数が増えれば、少々関連性が薄くても可。
コツは、みんなが腹を立てる前にさっさと黙ること。「あ、いらないスイッチを押しちゃった、失敗だった」と悟って、みんなが興味を失い、後悔をする数秒前に、壊れた三国志スピーカーを停止すべきです。
ぼくもそんなにはバカではないので(まあまあバカかも知れないが)、脈絡なく三国志の話を口走ってしまうとか、三国志のことを語り始めたら(そこが会社なのに)止まることができない、なんてことはない。
「ビジネス」三国志狂いですよ。
あ、こいつ、面倒くさいな、深く関わるのは辞めておこう、と牽制ができれば十分です。
悪口を言って傷つけるわけじゃない。実害があるとしたら、「ビジネス」狂いを発動する頻度が高すぎる、忙しいときにジャマになる、むだなおしゃべりが長すぎる、などの場合ぐらいですか。
絶対に「黙りなさい」と上司に叱られてはいけない。会議がゆるいとき、「お忘れかも知れませんが、ぼくは奇人変人ですから、あまり多くを求めないで下さいね」と念押しするぐらいです。
業務が忙しく、自分も含めて部署が「ハイ」状態になっているときも、「ビジネス」狂人を発動させることがあります。一緒に繁忙期に取り組むなかで団結心が高まり、仲良さげになっているときなので、うっかり武装が解けてパーソナリティの一面(個人的な本性)が出ちゃいましたよ、という文脈を意識しています。
また、いまは「ハイ」になって業務に熱中していますけれど、これは部署が忙しいから仕方がなくやっていることで、今以上に忠誠心や帰属意識を求められても困りますよ、という牽制です。
すごく嫌らしいというか、こういう「ビジネス」狂人であることを見抜いていましたよ、という職場の先輩や上司もいそうです。このへんの化かし合いになると、『人間失格』みたいな恥ずかしくてメンタルをえぐられる世界になりますね。
少なくとも『社員失格』ではあったので、辞めてよかったですね。
「佐藤くんは、”三国志” だからしょうがない」
と偉いひとにニヤニヤされて退けられたら、それが最高の成功例でした。
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