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年齢ごとのキャリア論/10代・20代・30代

佐藤ひろおです。早稲田の大学院生(三国志の研究)と、週4勤務の正社員(メーカー系の経理職)を兼ねています。

『論語』為政篇には、孔子が年齢ごとにたどった境地を語ったことばがあって、「15歳で学問を志し、30歳で立ち、40歳で惑わず、50歳で天命を知る」云々とあります。
今日は『論語』の話ではなく、年齢ごとに取り組むべきキャリア論、仕事選びの観点があるだろう、というお話。

ぼくは仕事選び、キャリア論に迷って、いろいろな情報収集をしているんですけど、適職や天職は、3つの要素が揃ったときだと思います。

①題材(どこの業界、何にまつわる仕事か)
②方法(どのように働くか、どんな強みを使うか)
③価値(働くことで何を作り出すか、主張するか)

八木仁平さんの本で、「①好きなこと、②得意なこと、③大事なこと」とあるのを焼き直しただけです。分かりやすくするために、「好き」「得意」「大事」と言っているのでしょうが直感的に区別ができない。

①題材、②方法、③価値は、人生のタイムスケジュールにおいて、すべて同時に見つかるわけではない。
※これがこの記事で言いたいこと

適職となり得る①題材は、10代で定まる。「〇〇が好き」というのは、もう20歳になれば十分に分かる。変化や発展はあるけれど、根本的に変わることはない。10代までの見聞、消費者としての経験で十分だ。

②方法は、学校の勉強だけでは足りず、20代で定まる。就職すれば「偏差値や社会階層が自分と同じぐらいの同期」のグループに放り込まれる。同類のなかで、自分だけが抜きんでるスキル、自分だけがなぜか苦にならない作業があるだろう。それが得意な&勝てる方法。

③価値は、社会人経験を10年ぐらいやると見つかるか。30代で見えてくる。仕事を通じて、こういうことを実現したい、こういう価値を提供したい、みたいな外向きのベクトルは、余裕や成熟が必要。

①適職の題材は10代で定まる

①題材は「ファッション」「スポーツ」「クルマ」「住宅」「教育」みたいなものです。どこの業界が好きなのか。これは10代で定まる。

仕事選びで「好きなことを仕事にするな」という教訓があります。しかしそれは、「題材が好きならば、どんな職種や働き方でもOK。業界の片隅に関われているだけでハッピーだ」という飛びつきに対する戒めでしかない。やりがい搾取もこのあたりから生まれますかね。

たとえばクラッシック音楽が好きだから、楽器メーカーに就職したら、えげつない課金を強いるビジネスモデルに幻滅して音楽が嫌いになった、みたいな話があるでしょう。
これって、①音楽が悪いのではなくて、②方法(いかに働くか)、③価値(働いて何を生み出すか)の部分が納得できなかっただけ。①音楽のことを嫌いになるのは早計。別の会社で①音楽と関わり、別の②方法、別の③価値を作れるのではないか。

まどわされる必要はないと思います。ごく自然にごく普通に、好きな①題材はを仕事にしたほうがいい。どうせ働くなら、好きな題材に関われた方が絶対にがんばれます。そんなの当たり前じゃないですか。
自分も「客」になる分野じゃないと、何が良いかも分かりません。

ぼくは自動車会社、自動車関連会社で働いていたことがありますが、クルマに興味がない。「クルマ事業は社会悪だ、社会から消えるべきだと」とまでは思わないけど、正直まったく感情が動かない。できるだけ好意的に見積もって、プラスマイナスゼロ。なんなら、「クルマの匂い」は嫌いだ。だから、いざというとき、粘りがきかない。きかなかった。
比べても仕方がないけど、「電車の匂い」は比較的好きだ。鉄道系の旅行youtubeは見るけど、クルマ系を見ようなんて思考実験だに辿り着けない発想です ※たったそれだけで、鉄道業界で働こう!!とはなりませんが

②得意な方法は20代で分かる

いわゆる「才能がある」というやつ。自分は普通にやってる、なんなら楽しくやってるけれど、周囲から見ると、「すげえ」と褒められること。
これが社会経験を通じて浮かび上がるのは、20代のうちでしょうか。

ひとと1対1で深く話せるとか、1対他のプレゼンテーションがうまいとか、事業のストーリーを想像できるとか、データ分析ができるとか、長時間の移動がむしろ好きとか、製品の細かい傷を見つけるのが得意とか。

③提供したい価値は30代以降

サラリーマンだと実感がありませんが、社会と関わって(働いて)お金をもらうのは、何らかの価値を提供したときです。
「社会にどのような変化を与えたいか?」
を考えることができるのは、経験年数が必要でしょう。30代のうちに見つかれば早くて、40代でも十分。なんなら目先のことに振り回されて、提供したい価値を考えない人もいるかも。

雇われるということは、③価値について思考を止めるのが正解かも知れない。「私には価値観、主義主張、仕事を通じて実現したいコトなんてございません。上司さまの御意のままに」と、頭を空っぽにするのが勤め人の正解かも知れません。
ただし、意外に?そうでもなくて、経営者の価値観、部署の価値観と一致している人材が、上司から見ても使い勝手が抜群だったりする。やっぱり、提供したい価値は、勤め人でも持ったほうがよいと思います。

先日、同い年の知人と、「40歳をこえてようやく、この職種を通じてどんな価値を提供したいのか見えてきた。自分のことだけじゃなくて、相手のことが見えてきた」みたいな話をしました。
就職活動の面接でアッピールするためのペラッペラのお題目ではなく、経験のなかから絞り出されてくる、③社会・お客様に提供したい価値って、アラフォーでようやく見えてくるのではないでしょうか。

以上、適職や適した働き方について、10代で好きな①題材や業界が定まり、20代で自分のすぐれた②性質や得意な働き方が浮かび上がり、30代をかけて③提供したい価値が見えてくるのかな、という話でした。

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